あなただけ
「ココ」

図書室に入ってきた古道に、ココは小さな声で返事をした。
普段なら生徒たちが勉強をしたり、本を読んだりしているテーブルでココは淫らな格好で横たわっている。
体の奥が汚れてしまっているような感覚が拭えなくて、身体が震えた。
窓の外を眺めているココは、肌けたYシャツから白い肌が見える。
ぼんやりと眺めている窓の外には何もない。

ココに近づいてキスをしてから服を着せる。
ある程度はぬぐい去られていた。
綺麗な肌は情事の後を色濃く残している。


「中が、気持ち悪い」

「ゴム?」

「ちゃんとさせた。中は、古道だけ。古道だけだから…。キスも古道だけ」

そういうココに古道はもう一度口づけて微笑んだ。
ぎゅっと抱きしめてだきあげる。
柔らかな肌が心地よい。


「お部屋でひどくして。壊れちゃうくらいにひどく、抱いて欲しい」

うんと手を伸ばしてきたココを抱き上げて、ふたりだけの部屋へ向かう。
軽い身体は日をおうごとに悲しいくらい重量が減っていくようだった。


ふたりの部屋に戻ってから、ソファーにココを押し倒した。
それから柔らかな身体を貪るように服を脱がしてキスをする。
ココの身体はゆるゆると古道に明け渡されていく。


「古道、好きにして…!」

「もちろん、俺の可愛いココちゃん」

ココをぎゅっと抱きしめながら囁けば小さく笑った。
泣きながら名前を呼んでくるココが可愛くて仕方がない。
ぎゅうぎゅうに抱きしめれば、ココは涙でぐしゃぐしゃな顔でもう一度笑う。


ココが意識を失ってからココは大きく息を吐きながら、煙草に手を伸ばした。
最近はココの体調と一応いい子でいようと思ってやめていたけれど、なんだか今日はとても吸いたい気分だ。


「愛してるよ。俺の可愛い弟」

そっとキスをして、煙草をふかす。
ココが返事をするように古道の腰に抱きついた。



「はい、これが体育祭までの見回りの割り当て」

「おう」

「ココは?」

「この通り、いい子に寝てるよ」

「ふふ、僕の弟は可愛いね」

古道とココの座るソファーの向かいに座った聖が笑う。
その笑い声に、古道は思わずホッとした。


「そういえば、お前たちは何の競技に出るの」

「俺はリレーに出る。ココちゃんは当日は出ないよ。あんな巣窟に出せるわけない」

「ああ、そうだね。見回りにはふたりで行ってもらうけれど、それ以外は風紀室で待機してもらおうか」

「了解」

古道が自分の膝の上で眠るココの頭を撫でる姿に、聖は微笑んだ。
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