ブルーのピアス
セイに連れられて保健室に来ていた。
保健医もクリスマスパーティーに参加しているため、ココはベッドで横になる。
鍵を締めて、ベッドで横になり、ため息をついた。

「…きもちわるい…」

胸の中がぐるぐると渦巻いている。
古道がそばにいないこともすごく嫌で、だけどココもわがままを言っていられなかった。
窓の外は雪模様で、真っ白な世界にムカムカとなおさら嫌な感情が渦巻く。

「…ん?」

となりのカーテンがしまっていることに気づいて、ココはもうひとりいることに気づいた。
どうせ具合が悪い人が横になってる。
ほっといて休もう、と布団をかぶり直した。
ココの体温で徐々に温まっていく布団だけが気持ちよい。
となりに人がいるけれど、具合の悪さから眠りに付けそうだった。


ギシ、と、保健室の安くないベッドが軋む音が、遠くから聞こえた。
それでもまどろみは覚めない。
疲れていたのか、ココは寝返りを打った。

「…こど…?」

こんなふうにココのところにやってくるのは、古道しかいない。
今いる場所がどこなのか、ココは忘れていた。
抱きしめてもらおうと、すっと手を伸ばす。

くいっと掴まれた手の体温に、身体がすくみあがった。
声にならない悲鳴を上げて、目を開ける。
目の前には知らない人がいた。
想像していた、金色と黒色のツーブロックじゃない。
柔らかな茶色、切れ長の瞳。
両耳のブルーのピアス。
どれも知らない人。

「っ、あっ、や、や、っ、こど…っ、こどじゃないっ」

はだけた胸元に、知らない体温が這う。
ぞわぞわと背中を泡立つものを感じ、空いてる手で口元を抑えた。
ひっひっ、と短く息を吸っていると、呼吸が荒くなって過呼吸になる。

「…さ、さ、あ、こ、ど、古道…っ」

悲鳴なような声に、目の前の瞳が情欲に揺れた。
下着はぐちゃぐちゃに汚れていて、いつの間にか脱がされている。
目の前の知らない体温がココの身体を弄んだ。
よくわからない、ぐるぐると回るものは、快楽で。

「…っは、たまねえな。犬山、心路」

こんなふうに、するなら、乱暴にされた方がいい。

そんな言葉が頭の中を回った。
頬を冷たくなった涙が流れる。
また、こんなふうな思いをしなくちゃいけないのか。


ガンガンと保健室のドアを叩く音が聞こえて来て、ココは涙を流した。
ひどい音が聞こえて、ドアが開く。
ココに嫌なことをしていた人が離れたのを感じて、ココは動かない身体を動かして、古道の元へ向かった。
途中で古道の体温を感じて、意識が遠のいていく。

「こ、ど…」

「ごめん、間に合ってよかった」

額になれた体温を感じてから、ココに嫌な思いをさせた人を見る。
綺麗な顔、もったいないな、そんなふうに思った。
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