なるべく早く
「…なんで、ゴムするの?」

ヒートも終わり、まともな思考回路が戻ってきた。
どろどろに汚れた身体やベッドを整え、ソファーで休みながら駿さんに聞く。
もう身体はいつでも子どもを授かっても良いって、診察の時に教えてもらった。
駿さんも喜んでくれたはずなのに、と、不安がよぎり、ぎゅっと膝を抱え見上げてみる。

「赤ちゃん、つくらないの?」

くっと眉を寄せた駿さんが見えて、小さくため息をついた。
もやもやとする心の中を抑えるように、駿さんの眉間をぐりぐりと指で押してみる。

「…駿さん」

答えてくれないからもう知らない。
そういうふうに、指を離してから膝に顔をうずめた。

「千陽…」

困ったような、いつもは聞けない情けない声で名前を呼ばれ、思わず笑いそうになった。
ゆっくりを顔を上げて、駿さんを見つめる。
声の通りの顔をしているのが面白かった。
笑わないように、怒ったように眉を寄せて見せれば、駿さんが手を伸ばして頬をなでてくれた。
その手が甘やかすように、謝るように撫でてくれるから、笑ってしまいそうだ。

「…笑うなよ」

「笑わない」

「もう少し、お前を独り占めしたいんだ」

まっすぐ、少し照れくさそうに見つめられて、きゅんと胸が締め付けられる。
なんだか目の前にいる駿さんが、可愛らしい。
膝から腕を離して、許しを請うように見つめてくるような駿さんの頬を、両手で挟んだ。

「んっ」

驚いた顔をした駿さんの下唇を甘く吸った。
それから、ぺろりと唇を舐めてから、うっすらと開いた唇の中に舌を差し込んだ。

「ん、ふ…、ふふっ、駿さん、可愛い、可愛い」

笑いながら、キスしていたら、今度は駿さんが怒ったように眉を寄せた。

「笑うなっていっただろ」

「…ふ、んっ」

ソファーに押し倒されて、深く舌を差し込まれた。
くちゅくちゅと濡れた音が響いて、収まったはずの熱が煽られるような気がする。
そっと胸を押して制止すれば、駿さんが軽く身体を起こした。
駿さんに覆いかぶさられ、腕の中に閉じ込められる。

「ん、ふ、ふは、」

「千陽、笑いすぎだろ」

「だって、可愛いんだもん。ひとりじめ、したかったの?」

「悪いかよ」

悪くないよって囁きながら駿さんの太ももを、自分の太ももですりすりと撫でた。
それで気をよくしたのか、額にキスしてくれる。
エッチしたあと、キスをたくさんしてくれるのが嬉しい。

「そうだね、俺も、駿さんのこともっとひとりじめしたいな…」

「分かった。もう一週間休みを取ろう」

「へ? そ、そんな簡単に休めるの?」

「ずっと番休暇以外働いてたんだ。一週間ぐらい休みもらってもバチは当たらないだろ」

そう言ってにやりと笑う駿さんに、つられて笑う。
腕を伸ばせば、素直に身体を落としてくれる。
ぎゅっと抱きしめれば、力を抜いて体重がずしりとかかってきた。
それが心地よくて、思わず笑った。

「でも、なるべく早くに赤ちゃん、ほしいかも」

そう呟けば、駿さんが笑った。
ちゅっとキスをしてから、広い背中を撫でる。
顔中に降りてくるキスが心地よくて、小さく喘ぎ声をこぼせば大きな手が怪しく動き始める。
駿さんの大きなTシャツの中に入り込んできて、下着のゴムを撫でた。
それからやわやわとへその少し下あたりをくすぐられた。

「ふ、あっ、んっ、ちょっと、くすぐったい〜っ」

「千陽、もう一回いいか」

「もういっかいでおわるの?」

そう言ってからかえば、駿さんは困ったように笑う。
まだ熱い時間を過ごせそうだなって笑えば、鎖骨に吸いつかれた。
prev | next

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -