花嫁修業
昼間からエッチなことをして、心は満たされたけれど身体は疲れきっている。
ソファーは綺麗に掃除をして乾燥中。
もうひとつの使っていないソファーにふたりで座ってぼんやりしていた。

「千陽」

「んー」

「よろっと式場とか見にいくか」

「ふあっ!?」

ぼんやりとしていた頭をいきなり引っ張られたような言葉に、ソファーから背中を剥がして駿さんを見た。
突然の言葉に驚きながらも、前に夏に結婚式あげようって約束したことを思い出す。
頬が熱くなっていくのを感じて、駿さんから顔をそらした。

「照れてるの、お前」

「て、れてない」

「照れてるだろ、真っ赤になってるぞ」

「ううー!」

駿さんに背中を向けて顔を隠していると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
からかうように顎でつむじをグリグリとされる。
楽しそうな笑い声につられて笑う。
身体の向きを変えて、駿さんと向き合った。

「よくわかんないけど、見に行ったほうがいいの?」

「当たり前だろ。一生に一度の思い出だからな」

「ん、そうね。…いつでもいいよ」

「めぼしいところ、探しておくから」

「ん。任せる」

チュッと頬に口付けをもらって笑っていると、今度は唇が触れ合った。
子どもがふざけてするようなキス。
気持ちよくて目を瞑って駿さんの背中に腕を回す。

「ふふ、ん…」

「もう少しあったかくなってからでもいいかもな。お前すぐに冷えるから」

「んんー、大丈夫だよー。冷えない冷えない」

「ちゃんとあったかい格好するならな」

「はーい」

優しく頬に口付けをもらった。
駿さんはエッチの後はキスをたくさんしてくれる。
そんな駿さんが大好きで、仕方がない。

「駿さん、夕飯の材料買いに行こ」

「疲れてるだろ。俺が行ってくるけど」

「ふたりで行きたい」

「無理するなよ」

一緒に車に乗り込んでスーパーへ連れて行ってもらう。
帰りに本屋に寄ってもらって、雑誌を買いたい。

「帰り本屋さん寄って」

「何か買うのか」

「雑誌ー」

聞いて来ておいて適当に返事する駿さんに笑った。
スーパーにはすぐ辿りついて、ふたりで降りる。
カゴを持った駿さんと一緒にスーパーの中を歩き回った。

スーパーでの買い物を終えて、車に食材を置いた。
隣の本屋さんに一緒に入って、中を見渡す。
割と品揃えのいい本屋さんで、駿さんも本を探しに歩いて行った。
その間にお目当の雑誌を探しに行く。
ブライダル雑誌を買いたいと思っていた。
最近ではΩ用のブライダル雑誌も発売されていて、Ωの男性も買いやすくなっている。
Ω用のものを手にとってパラパラと中身を見る。
手にとってレジで購入してから駿さんの姿を探した。

「駿さん」

「ん? もう買って来たのか」

「うん。駿さんも何か買う?」

「いや、俺はいい。帰るか」

駿さんに手を取られて歩く。
ぎゅっと握った手は今日は暖かかった。

家に着いてから、またソファーに腰をかけた。
まだ夕飯を作るには早い。
買って来た雑誌を見ていると、隣に腰を下ろした駿さんがのぞいて来た。

「面白いか」

「んー、一応、花嫁修行? した方がいいのかなーって」

「そうか」

嬉しそうに笑った駿さんに、つられて笑う。
一緒に雑誌を見ていれば、右肩に重みを感じた。
途中で駿さんが昼寝を始めていて、思わず笑ってしまう。

「おやすみ、駿さん」

そっと駿さんに髪に頬をすり寄せて、また雑誌に視線を落とした。

ベッド end
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