賢者タイム
夕飯を食べてから、センセーとソファーでぼんやりとテレビを眺めていた。
テレビの中ではお笑い芸人たちがズッコケている。
あんまり面白くない。
センセーも笑わずに煙草を大きく吸い込んだ。

「テレビつまんない」

「そうだな」

「チャンネル変えていい?」

「他もそんな面白くないだろ。…風呂入るか」

そう言って立ち上がったセンセーに首を傾げていると、手を引かれた。
立ち上がってついていくと脱衣所に連れて行かれる。
Yシャツを脱がされて、スラックスも脱がされた。

「い、一緒に入るの?」

「いやか」

「ううん」

「じゃあ脱げ」

「は、はい」

センセーに言われて下着を脱ぐ。
センセーもすぐに来ていたものを脱いで、俺を先に浴室へ促した。
シャワーを出して、お湯を浴びていると、センセーもすぐに入って来た。

「体洗ってやる」

「ん」

センセーがあわ立てたタオルで背中を洗ってくれる。
お風呂の時だけ外した首輪は鏡を見ると日焼けの跡になっていた。
後ろに立ったセンセーは、その首輪の跡を見ている。

「首輪外してもついてるみたいだな」

神経質そうな指先が日焼けの跡を撫でてくすぐる。
くすぐったくて肩をすくめて笑えば、今度は頭を撫でられた。
身体を洗ってもらい、場所を交代する。
今度はセンセーの身体を洗った。
センセーの身体は俺の身体よりもずっと大きい。
適度についた筋肉に、高い背。
αの特徴が出ていて見ていると、きゅうっと心臓が締め付けられる。

「はいっ、終わり」

頭を洗い終えてから、一緒に湯船に浸かる。
お湯が溢れるのを眺めていると、センセーが俺の頬に張り付いた前髪を耳にかけた。

「きもちい」

目を細めていると、センセーの大きなてのひらが、頬を包んだ。
そのまま引っ張られると、キスをされる。

「ん」

「口開けろよ」

「んあ」

熱い舌が口の中に入り込んで来て、掻き回す。
絡み合った舌が痺れていくように快感がじわじわと身体に広がって行った。
センセーの大きな手が、耳の裏をくすぐり、後頭部に指先を這う。
気持ちよくて鼻から息が抜けた。

「ん、…ん、ん」

「千陽」

「う、…?」

唇が離れ、銀色の糸が伸びる。
それはすぐに途切れて、もう一度軽く唇が重なった。

「ん」

センセーの膝に置いた手を離して、唇に指を這わせる。
少し腫れぼったくなった唇は痺れていた。

「も、とつぜ、ん」

「のぼせそうだな」

「誰のせいでっ」

「ん? 俺か?」

もう一度軽くキスをされた。濡れた髪を撫でられる。

「先に上がるから、ゆっくり抜いてれば」

そう言われて、かあっと頬に集まった熱に、センセーにお湯をかけた。
上がって行ったセンセーにお湯に浸かる。
ぶくぶくと泡を吹き出してから、大きな音を立てて湯船から出た。

「ん…」

それから、床に腰を下ろして、半勃ちになったそれに手を這わせる。
小さな声を漏らしながら、熱を吐き出すために前かがみになった。
後ろもジワリと濡れ始めて、指を這わせる。

「は、ん…、せんせー、しゅ、んさ…ッ」

淫らな濡れた音を立てて、指が中に入り込む。
気持ちよくて、気持ちよくて、意識が飛んでしまいそうだ。
中を弄っていると次第にギュウッと下腹部が締め付けられるような感覚が湧き上がる。

「あっ、は…、きも、ち、せんせぇ」

ドロドロと濡れたそこはとても熱くて、センセーにここを弄られたんだ、と複雑な気持ちになった。
それでも熱は徐々に広がり全身を包み込む。

「んッ、い、くッ、イくッ」

小さく声を漏らしながら、キュッと身体を丸め込むと白濁が飛び出した。
顔にかかるそれにぎゅっと目を瞑る。

「は、っは、ん…、何、してんだか、も、センセーのせいだ」

シャワーを出して顔を洗って、身体をもう一度洗う。
熱は治ったが倦怠感がすごい。
これが賢者タイムってやつか、なんて思いながら、のそりと立ち上がった。
脱衣所に出れば、センセーが歯磨きしながら俺を見て笑った。

「のっ…、のぞいてたの!?」

「もちろん。まさかほんとにするとは思わなかったが」

「だ、って、だってっ」

「落ち着けって」

タオルで身体を包まれる。
センセーの背中を叩きながら、文句を言っていると手を掴まれた。
それからぎゅっと抱きしめられた。

「ほら、服着ないと夏だからって言っても風邪引くぞ」

センセーはまだ笑っていて、ムッとしながらも身体を拭いた。
それから、センセーの家に前回置いて行った下着を着る。
もう一つ渡されたTシャツを着た。
センセーのTシャツはブカブカで下着を隠すくらいだ。

「ほら、歯磨け」

予備の歯ブラシを取り出して、センセーに手渡される。
歯磨き粉をつけてから、センセーの隣で歯磨きをした。
先に歯磨きを終えたセンセーが髪を乾かす。
同じように口をゆすいでセンセーを見上げタオルドライをしていたら、タオルを取り上げられた。

「わ」

「乱暴にするな。綺麗な髪が痛むだろ」

「せ、せんせー、たまに恥ずかしいこと言う」

「恥ずかしいことでもなんでもないだろ。それに、家では…」

「も、わかってるよっ」

恥ずかしくて逃げようとすると、怒られた。
丁寧に髪を拭かれ、そのあとにドライヤーをかけられる。
ほんとに、面倒見がいいな、と思いながら、大きな手の心地よさを感じた。

資料室 end
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