日だまりと夜
「ふくらんだな…。温かい」

深夜の手が真昼の腹部を撫でる。
優しい手つきに真昼は笑みを浮かべ、頷いた。


「名前を考えなければならないな」

「名前…」

「ああ」

名前、と考え込んだ真昼の肩を抱く。
肩を抱いた手で、真昼の頭を撫でると、真昼が思いついたように呟いた。


「ひよ、はどうでしょう」

「ひよ?」

「はい。日だまりの日に、夜のよ」

「真昼の国の文字か? 書いてみておくれ」

深夜が立ち上がり、棚に置いてあった羽ペンとインクを持ってくる。
紙をテーブルに置かれ、真昼は頷いた。
まず、深夜という文字を書く。
その隣に真昼と書いて、ふたりの名前の下に日夜、と書いた。


「これがしんや。これがまひる。…最後に、ひよ」

「…難しいな。だが、綺麗な形だ」

そんな男の感想に小さく笑う。
男は真昼の書いた文字に指を這わせた。


「…愛おしい名前だ。日夜。いいな」

満足したような男の声に、真昼は安心して頷いた。


「真昼、儀式用の服はどうだ?」

「完成予想の書いた紙を、見せてもらいました。すごく、綺麗で…、着るのが楽しみです」

「そうか、良かった。…そういえば、いつも似たような格好をしている」

気付いたように男は真昼を眺めた。
真昼に用意された服は普段魔族の着ている楽な衣装に金糸の刺繍で装飾を施した、着るのが難しくないような服になる。
そのため、ワンピース型のどこか民族的なものしか着たことがない。


「今度、真昼の服を買いに行こうか」

「お買いもの…お外に連れてって下さるのですか?」

「ああ。この国についても知ってもらわなければならないからな」

嬉しそうに頷いた真昼に、男も微笑んだ。
それから真昼のハーフアップにあげた髪を梳き、頭を撫でる。
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「見えない臓器の名前は」
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