孤独の塔
口に布を詰め込まれた後目隠しをされて、引きづられるようにして歩いた。
ぎゅっと縄で縛られた腕が痛い。
口に詰め込まれた布も、苦しい。
息苦しさと空気の冷たさが、余計に恐怖を増した。


「…んぅっ…!」

ドン、と背中を押され、真昼は固い地面に体を打ちつけた。
ひねっていた足も強い痛みを増す。
目隠しをされた布と腕の縄を解かれる。
痛みであえいでいると、ガシャンと大きな音が鳴った。
音の方へ視線を向ければ、鉄格子が閉められるのが見える。


「…っ」

ひんやりとしたこの場所は、決して部屋とは呼べないような場所。
ベッドもなにもない、ただの空間。
あるのは、真昼とともに投げ込まれた一枚の薄い毛布と、小さなトイレのみ。
トイレはかろうじて隠されていたが、清潔とは言えないようなものだ。

口から布を取り出して、荒い息を整えようと喘いだ。
しかし、中々呼吸を整えることができなくて、真昼は地面に突っ伏した。


「神子がふたりもいるなんて不吉だな」

不意にそんな声が聞こえてきた。
真昼を連れてきた男たちではないようで、そちらを見る。
そこにいたのは、おそらく牢屋の番人だろう。
不躾な視線と、ひどい言葉が真昼に突き刺さった。


「…殺してしまえば、きっと災いが起こるだろうな」

「何しろ、黒髪だからな」

「外で見張ろう。あんなにひ弱ならここから出ることなどできるはずがない」

男たちが笑いながら出ていく。
きい、と音がして、扉が閉まった。

天井が高い。
上を見上げると、だいぶ高い位置に窓があった。
窓から入る日差しは真昼の体を少しだけ照らし、温めてくれる。
一枚の薄い毛布を羽織った。
小さな真昼にはこの毛布はちょうど良い。
毛布にくるまって、体を温めようと、手で腕をこする。


「寒い…」

寒さと疲れで、眠気が襲ってきた。
毛布にくるまったまま、横に倒れる。
ぎゅっと小さくなれば、少しは寒さが和らいだ。
足の痛みはいつまでも消えない。


「誰か…」

助けて。
小さな叫びは、声になることもなく、真昼の喉を下って行った。
そっと目を瞑れば、静かな眠りが訪れる。
穏やかな波に体を預け、眠りに落ちた。
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