寝物語
「ダリオ、お話上手」
白いふわふわのベッドで、ウトウトしながら聞いていたリリーは目をこすった。
神子の話を聞きたい、知りたいと願って聞かせてもらった。
ダリオの低い声がとても心地よい。
「大事な話だ、ちゃんと理解したのか」
「もー、ダリオ、ベッドで話したってリリーが理解できるわけないじゃん。ほらもうこんなに眠たそうだ」
ルキーノの陽気な声に、リリーは小さく笑う。
久しぶりに3人揃ってどこか嬉しい。
「白いふわふわの神様は今どうしてるのかな」
「…さあ、それは神子であるお前しか知らないだろうな」
「…僕も分かんないよ」
「そうか、まあ、神様も力が弱っているのだろう。だから、あのようなことになるのだろうし、それにお前とも出会えた」
「あのようなこと?」
首をかしげたリリーの髪を撫でる。
ルキーノも悲しそうな瞳を見せた。
ダリオは聞かなくていい、そういうような表情をしている。
リリーは聞くことをやめて、ダリオの手の心地よさに目をつむった。
「そういえば、真ん中の島ってここのことなの?」
「ああ、そうだよ。ここはかつて神様がいたところだ」
「すごいところなんだね」
そう言ってリリーは顔を上げた。
ダリオの手は離れていき、膝に置かれた銀色の表紙の本を撫でる。
ルキーノはお茶を入れに行って、共有ルームが静かになった。
「ダリオのラミは、ロジーでしょ」
「ああ、どうした?」
「初めての王様のラミもドラゴンだったんだね」
「あぁ、そうだな。…俺はそれを誇らしいと思うよ」
「そっか。ロジー、よかったね」
ロジーの頭を撫でて、リリーは小さく微笑んだ。
嬉しそうに鼻先をぐりぐりとリリーの手に押し付けるロジーに思わず笑う。
戻ってきたルキーノに差し出されたお茶を飲み、さあ眠るかとダリオが声を上げた。
「リリー、さあ、早くお休み。明日から学園生活が始まるんだから」
「うん、ルキーノ、ダリオ、お休み」
ルキーノに促されて、リリーは挨拶をした。
自室へ入っていくふたりにひらひらと手を振る。
オトメとふたりきりになった共有ルームで、リリーはろうそくの火を吹き消した。
「オトメ、白い神様って知ってる?」
オトメに聞いても返事は来ない。
その代わり、甘えるようにリリーの首元に擦り寄ってきた。
「ん、知らないか。…明日ははやいから、もう寝ようね」
そう言って、白いふわふわの可愛いオトメに口づけた。
「そう言えば、神子は誰かに殺された可哀想な魂って言ってたけど…、僕は誰かに殺されたのかな」
ふと浮かんだ疑問に、リリーは首を傾げた。
考えても分からないそれに、目を瞑る。
なんだか胸がざわざわと嫌な感じがした。
「…オトメ、おやすみ…」
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