お勉強
勉強机に向かって、教科書と睨み合いを続けてもう2時間が経つ。
宿題を終わらせてから、壱琉に作ってもらった問題集を進めていた。
次に会うのは問題集の丸付けの時にしようと、ふたりで約束している。
だからなるべく早く終わらせたくて、夢中になって問題を解いていた。


「むく」

「たぁちゃん」

「昨日、東方の過去問買ってきたから、よかったら使ってね」

「うん。ありがとう…」

「疲れてる? 冷たいレモネードでも入れよっか?」

「うん」

そばにきた汰絽に頭を撫でられて、むくは小さく笑った。
優しい柔らかな手がなんどもむくの頭を撫でて労わってくれる。
受け取った冊子を見て、小さく笑った。


「むく、頑張りすぎないでね」

「大丈夫だよ、適度に頑張れって風太にも言われたから」

「考えることは同じだったね。ちょっと待ってて。今入れてくるね」

「うん、ちょっと休憩する」

いじらないようにベッドの上に置いて置いた携帯を手に取り、メッセージ画面をひらけば一通メッセージが届いていた。
メッセージは出張に行っている風太からで、戸締りのことと、勉強頑張って、と短い文が書かれている。
すぐに返信して頭を突っ伏した。


「会いたい…な」

小さく呟くと、携帯が鳴った。
メッセージが届いていて、すぐにひらけば今思い浮かべていた相手からだった。


『夜遅くまで頑張るなよ。睡眠はちゃんと取ること。いつでも連絡してきていいからな』

「わかってるよ、…いちは会いたくないのかな…」

小さくそう呟けば、もう一度携帯が鳴った。
少し拗ねた気持ちになりながら携帯を見れば、また壱琉からメッセージが入っている。


『ゆっくりでもいいから、次会った時はうんと甘やかしてやる』

「…ふふ、も、偉そう…。約束だよ、美味しいケーキ買ってねっと…」

「むく、レモネード入れてきたよ」

ノックをしながら入ってきた汰絽に、むくは携帯を机に置いた。
汰絽からコップを受け取り、一口飲むと優しいレモンの味がする。


「あともうひと頑張りしよっかな」

「夜はちゃんと寝てね。コップは明日洗うから、朝ごはんの時持ってきてね」

「うん。たぁちゃんおやすみなさい」

「おやすみ、むく」

挨拶を交わしてから、ひらひらと手を振る。
それから、もう一度机に向かって、鉛筆を手に持った。


「あともうひと頑張り」

だから、たくさん甘やかしてね。
心の中で小さくつぶやいて、むくは携帯をもう一度ベッドに置いた。
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