お出かけ
「進路希望調査票、第一希望東方にして、第二希望を春風にした」

「第三希望は?」

「んー、どこもいいところないから白紙で出したよ。ゆうちゃんは?」

駅前のファミレスでご飯を食べながら、ここ最近ずっと話題に上がっている進路について話す。
進路希望はオープンスクールと、兄たちの話を参考にして決めた。
これから本格的に受験勉強を始めていかなければいけない。
ドリンクバーのジュースを飲みながら結之を見ると、結之はにこりと笑った。


「僕も同じ。第三希望で桜花学園も入れたけど、東方が一番いいかなって思って」

「どうして?」

「校風も良かったし、東方って写真部あるでしょ。写真部入りたくて」

「そうなんだ。頑張ろうね」

そう言って結之に笑いかければ、結之も同じように笑ってくれた。
親友と高校に行ってもまだ一緒にいれるそう思うと嬉しい。
勉強も頑張りたいと思う。


「むくはどうして東方に?」

「春風もすごくいいなって思ったんだけど…。やっぱり、壱琉が通っていた学校だから。壱琉のこともっと知りたいって」

「愛だね」

「やめて、…恥ずかしいから」

コップに入ったメロンソーダーを見つめる。
壱琉のアルバムの中の今よりもずっと若い壱琉の姿を思い出した。
ここで、壱琉の通っていた学校でむくも同じ時を過ごしたい。


「むく、そろそろ買い物行く?」

「そうだね。欲しい参考書あるんだ」

「じゃあ買いに行こう」

会計を済ませて、ふたりは店を出た。
結之の隣を歩いていると、違和感を感じる。
隣の結之をちらりと見るといつもと見える景色が違かった。


「…もしかして、身長伸びた?」

「もしかしなくても。ぐんぐん伸びてるみたい」

「そ…かぁ…。むく、身長止まっちゃったのかなぁ…」

「まだまだ伸び盛りだと思うよ。僕たちまだ中学生なんだから」

そう言って笑う結之に少しだけムッとしてしまう。
ぽすっと結之の二の腕にパンチしてから笑った。


「すぐに追いつくんだから」

「待ってるよ」

優しく笑う結之の顔はどこか、壱琉みたいに優しくみえた。


「受験、頑張ろうね」

そう呟いてふたりは笑いあった。
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