憂鬱な朝
朝起きると、眉間の辺りが痛くて思わず唸った。
昨日たくさん泣いてしまって、痛みが残ったようだ。
学校に行きたくない気持ちがこみ上げてきて、布団の中でゴロゴロと動く。
小さく唸れば、ノックの音が聞こえた。


「むく、起きてるか?」

「…起きてるよ〜、今行く〜」

風太に声をかけられて、しぶしぶベッドから降りる。
制服に着替えて、荷物を持ってリビングに出た。
もう少ししたら、嫌でも学校に行かなければいけない。
昨日の伊賀の様子から、今日も何かしら問いかけられそうだ。


「おはよう」

汰絽の優しい声が聞こえて、少しだけ心が安らぐ。
キッチンに立っていた汰絽のそばに寄ってぎゅっと抱きついた。


「どうしたの、むく」

「ううん、今日やな先生の授業があるから、ゆううつ」

「そっか、僕もよくあったなぁ」

「そうなんだ」

他愛もない話をしていると、やっと少しだけ学校に行く気持ちが湧いてきた。
学校に行けば結之とも会える。
それに、学校さえ終われば壱琉と会える。
テーブルについて、全員で朝食を食べて、家を出た。


教室に入りすぐに結之の隣に行く。
それから、伊賀や朝田に話しかけられても他愛のない会話で終わるように話した。
気を使いながら話したせいで疲れがたまる。


「やっと帰れる。今日もちょっと用事があるから、先に帰るね」

「うん、お疲れ」

「ありがとう、ごめんね、むくがわがままなせいで…」

「そんなことないよ、大丈夫」

結之に頭を撫でられ、むくは頷いた。
それから教室を出て、すぐに待ち合わせをしていたコンビニに入る。
壱琉の車を見つけて駆け寄った。
車の中は誰もいなくてコンビニに目を向ける。
コンビニの雑誌のコーナーで壱琉が立ち読みをしていることに気づいて、むくは駆け寄った。


「い、いち」

小さな声で呼べばすぐに壱琉が振り返った。
柔らかく微笑んだ壱琉に、むくは今すぐに抱きついてしまい気持ちにかられる。


「むく、おかえり」

囁くような声に頷くと、壱琉がむくの背中を撫でる。
ふたりは何も話さず、コンビニをあとにし車に乗り込んだ。


「ただいま」

小さく囁けばすぐに壱琉がむくの頭を撫でた。
その手の大きさにホッとしてむくは助手席の背もたれに体をゆだねる。
疲れた様子のむくを見て壱琉が頬を撫でた。


「疲れてるな」

「うん」

「昨日あった嫌なことか?」

「まあ、そんな感じ。ずっと気を使ってて、疲れた」

そう言って、窓の外に視線を向ける。
壱琉はそんなむくの頭をもう一度撫でて、エンジンをかけた。
家に向かって車を走らせる。
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