ぼんやりさんの目覚め
授業も終わり、昼休み。
チャイムの音で汰絽はまたはっとした。
今が何の時間すらもわからない。


「よし君…!」

「おっ、おう。…汰絽、やっと起きたか」

「…ぼーっとしてた?」

「してたぞー。そりゃもう。お前がぼーっとしてるから、毎時間毎時間、先生が心配して大変だった」

「わー…どうしよ」

好野の一言に汰絽は頭を抱え込む。
その様子にくすりと笑い、優しく頭を撫でた。
可愛らしい友人はその手のひらを甘受する。
それから少しだけ恥ずかしそうに好野を見上げた。


「ノート、後で貸してやるよ」

「ありがと…。ところで、今何の時間?」

「…そこまでぼーっとしてたのか。お昼だよ、お、ひ、る」

「お昼!? …自販機、よし君! 自販機!!」

「お、俺は自販機じゃないぞ! って汰絽!」

突然立ち上がって椅子をガタガタと音を立てながら出て行った。
呆気にとられてすぐに立ち直り、好野は汰絽の後を追いかける。
おっとりとしている汰絽の緊急時の足の速さは尋常じゃない。
好野が追いついたのは、玄関にある自販機についた時だった。


「おー、走ってきたのか」

「は、春野先輩…」

「よっ」

軽く笑い、手を振ってきた風太に汰絽がほっと一息ついた。
その隣には杏が携帯を弄っていて、遅れてきた好野に手を振る。


「はるのんが汰絽ちゃん迎えに行くって言ったから、来ちゃった」

「ありがとうございます」

「いいえー。それに、よしきゅんにも用事があったからね」

「あ、DVDBOXですよね! 特別編、みましたかー?」

テンションが上がり始めたふたりに風太が嘲笑を送る。
仲良くなりすぎたふたりに呆れているのは風太だけではなく、汰絽も小さく苦笑していた。


「よし、屋上、行くか」

「はいっ、屋上、好きです」

「あぁ、俺も」

風太の誘いに目を輝かせながら、頷いた。
もちろん、残りのふたりも屋上に行くことになる。
好野が飲み物を買ってから、4人は屋上へ向かった。
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