ぷかぷか
小さなむくがすっぽんぽんになったところで、風太も服を脱いだ。
先に風呂場に入ったむくは、アヒルさんを抱えている。


「今日は全部出すのか」

「たぁちゃんがいいって」

「そうか」

お風呂にだっと入り込んでいくアヒルを見て、微かに笑う。
久しぶりに流した涙を流す様に、シャワーを浴びた。
むくを椅子に座らせて風太は膝立ちになる。
シャンプーハットをかぶった頭に泡をつけた。


「むく」

「なあに」

「たろって、優しいな」

「うんっ。たぁちゃんはね、ぼくのたいせつな人なの」

「そうか」

足を振るむくの頭についた泡を流す。
体は自分で洗わせて、風太は自分の髪を洗い始めた。
体も洗い終えてから、むくを先に風呂に入れる。
ちょうどいい温度の風呂に入って、ため息をついた。


「風太もやさしいんだね」

「なんで?」

「たぁちゃんがやさしい人ってゆってた」

「そうだな。…でも、俺はお前達と違ってそんなに優しくない」

「どういうこと? わかんない」

首をかしげたむくに笑い、蜂蜜色を撫でる。
わかんなくていいよ、そういうと、むくがむっすりとした。
湯船に浮かんだアヒルさんを持って遊ぶむくを見て、風太はもう一度ため息をつく。
縁に頭を預け、目を瞑ると心地よい気がした。


「ふうた、また遊びに来る?」

「ん?」

「また、あそびにくる?」

「おう。行く」

「じゃあ、たぁちゃんといっぱああい遊んでね」

「おう。約束な」

「ゆびきりー!!」

うんと立てられた小指に自分の小指をからめて、上下に振る。
指きりげんまん、とむくの上手な歌が聞こえて、風太は微笑んだ。
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