花粉症
真っ青な青空を眺めながら、弁当を食べ始めた。
隣に腰を下ろした汰絽の様子を眺める。
後頭部に寝癖がついていて、風太はその寝癖に触れた。


「ん?」

「寝癖ついてる」

「え? わー、なおしたと思ってたんですが…ついてた」

しょんぼりとした汰絽に笑いながら頭を撫でた。
好野と杏がそんなふたりに視線を移し、柔らかい表情をしている。
温かい風が吹いて、汰絽がくしゃみをした。


「花粉症か?」

「たぶん…」

「微笑ましいねー、よし君」

「そうですねー、杏先輩」

好野が笑い杏も同じように笑ってから、ふたりは食べ終わったパンのゴミを袋に入れた。
くしゅん、くしゅん、とくしゃみを続ける汰絽に、風太が笑いながらティッシュを渡す。
鼻をかんだ汰絽はティッシュをそっとポケットに入れた。


「後で捨てろよ」

「大丈夫ですよう」

弁当を片付けて、フェンスに体を預ける。
春の陽気が眠気を誘い、うとうとし始めた。


「…眠たそうだな」

「眠いです…」

「そうか」

ぼんやりとしている汰絽を見て、風太も同じようにフェンスに体を預けた。
空を見上げると、雲がぷかぷかと浮かんでいる。


「いい天気だなー」

「そうですねえ」

のんびりとした会話が続いて、杏と好野が大きく笑った。
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