お弁当
テーブルを向き合わせて座る。
汰絽と好野が隣に座り、汰絽の前に風太、好野の前に杏が座った。
鞄からお弁当箱を取り出す。


「たろ、また土曜、泊まりに行ってもいいか?」

「土曜ですか? かまいませんよ。むしろ嬉しいです」

嬉しそうに顔を綻ばせた汰絽に、風太はどこかがきゅん、と音を立てるのを聞いた。
ん?、と首に手を当てる。
そんな風太に汰絽は首をかしげた。


「春野先輩?」

「いや…、なんでもない」

「そうですか?」

ぱっと視線をお弁当箱に戻し、蓋を開く。
綺麗に作られたお弁当を覗き込み、杏は目を見開いた。


「すごーい。汰絽ちゃんのお弁当綺麗」

「え? そうですか?」

「すごいよー! うちの弁当なんて手抜きだよ手抜きー」

お弁当箱を開けながらため息をつく杏に苦笑する。
好野はそんな汰絽を見て、杏に別の話題を振った。


「杏先輩、先日のみらは見ましたか?」

「ん? 見た見たー」

ちらりと汰絽を見た後に、杏は好野に視線を移しにっこりと笑った。
杏は好野がわざと話をずらしたのに気付きながら、乗ってくれたようだ。
お弁当を開いて、汰絽はいただきます、と呟く。


「たろ、その卵焼きくれ」

「どうぞ。甘めですよ?」

箸で挟んだ卵焼きを差し出す。
ん、と返事をして、風太は卵焼きを口に含んだ。
甘くて優しい味のする卵焼き。
箸を抜いた汰絽は、風太を見てどうですか、と尋ねた。


「うまい。泊まった時に食べたのもそうだけど、料理うまいな」

「ありがとうございます、おばあちゃんから教えてもらったんです」

「へえ。じゃあ、ばあさんも上手かったんだろうな」

「おばあちゃんのほうがとっても上手でした」

懐かしむように微笑んだ汰絽の表情をみて、風太はそうか、と頷いた。
お弁当に視線を戻した汰絽は、お弁当を食べるのを再開する。
風太は持っていたコンビニの袋開いた。
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