ふわふわ
戻ってきたむくと結之達とともに、手を洗う。
タオルで手を拭いて、汰絽はレジャーシートを敷いた。
その上に座り、弁当箱を出す。
嬉しそうに身を乗り出したむく達に答えるように、汰絽はお弁当箱を開いた。
運動会とかで使うような重箱の中にはおにぎりや卵焼きなど、よく見るおかずが入っている。
「むくね、たあちゃんの作るね、たまごやき、だあいすきっ」
「そう? …嬉しいな」
「あとね、ハンバーグも」
「たろも、ハンバーグ好きだよ」
むくと汰絽の会話にこくこくと頷いている結之に笑いつつ、風太も弁当へ手を伸ばした。
皿に食べたいものを乗せ、箸を進める。
桜の花びらがひらひらと舞っていて、風太は顔を上げた。
「あ…、たろ」
なんかの拍子で落ちてきたのか、花びらではなく花がぽんと汰絽の頭に落ちた。
とっさにカメラを取り、頭に花をのせた汰絽を写す。
ぽかんとした表情に、風太は思わず笑った。
「なんですか、急に」
「あっ、たあちゃん、お花…」
結之に言われてやっと気付いたのか、花が乗っているところを探る。
なかなか花を見つけることができず、風太はそっと紙に触れた。
すると、何枚か汰絽の上にあった花びらが舞う。
「取れた。ほら、結之」
とった花は結之に手のひらの上にのせた。
嬉しそうに貰った花を眺めるよう結之に汰絽が微笑む。
そんな汰絽に笑い、風太は蜂蜜色の髪を撫でた。
「ふわっふわだな、お前の髪」
「そうですか?」
「おう。そういえばむくの髪もふわふわしてたしな」
ほんと、と嬉しそうに自分の髪を触るむくに汰絽が笑った。
結之も気になったのか、むくの頭に手を伸ばす。
「わあ、ふわふわだあ」
「ゆうちゃんもふわふわだよお」
「むくちゃんのがふわふわだよー!」
と、可愛らしくお互いの髪の毛を触りあうふたりに、汰絽が悶え始めた。
カメラを手に取り、写真を何枚も撮る。
風太も同じように携帯を構えて、写真を何枚も撮った。
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