朝ごはん
「…」

「おはようございます」

少し肌寒い朝、風太は一度瞬きしてみた。
腹部にある重みに、しっかりと目を開く。


「お…はよう。…なんでお前、俺の上にいるんだ」

「先輩、なかなか起きないから。もう9時ですよ」

「…まだ9時じゃねえかぁー…」

「うちでは土日は8時起床です。朝ごはんですよ」

「わかったよ」

「布団、脇によせるだけでいいですので、お願いします」

「ああ」

ひょいっと汰絽を持ち上げて、どかし、風太は布団を綺麗に畳んだ。
むく達はもうリビングに行ったのか、楽しそうな声が遠くから聞こえる。
準備してきますね、と告げて、汰絽はキッチンへ向かった。
布団を脇にずらしてから、リビングに行くと3人はダイニングテーブルについている。


「ふうたおはよぉっ」

「おはよ。結之も」

「おはよおー」

あいさつを終えてから、風太も空いた場所に腰を下ろす。
朝ごはんは、卵焼きとサケの塩焼きと、味噌汁に五穀米。


「では、いただきます」

汰絽のあいさつを合図に、風太もいただきます、といい、箸を取った。
サケの塩加減もちょうどよい。
味噌汁はわかめと豆腐の味噌汁。
卵焼きは出し巻きになっていた。


「春野先輩、午前中、家事を済ませたら公園に行こうと思ってるんですが、どうでしょう?」

「公園?」

「はい、桜も咲いてるし、ちょっと遊びに行こうかなって」

「いいな。途中でお菓子でも買っていくか」

お菓子、の言葉に反応したむく達は嬉しそうに声を上げた。
そんなふたりに風太と汰絽は顔を見合わせて笑う。


「おかしっ、おかしっ。むく、わたあめがいいーっ」

「いいよ。綿あめね。ゆうちゃんは何がいいかな?」

「ゆうのもむくちゃんと同じっ」

「うん、わかった。春野先輩は何買いますか?」

「俺は行ってから決めるわ」

「はい。むく、ゆうちゃん、ご飯残しちゃだめだよ」

「はーい」

ふたりの元気な返事を聞いて、汰絽は笑った。
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