明日の約束
「怖いから一緒に寝てくださいね」
「はは、もちろん」
ぎゅっと手を握った汰絽がぽつりと呟いた言葉に風太は小さく笑った。
汰絽も風太の笑みにつられ、笑う。
握った手をそのままにふたりで風太の部屋に入った。
暖房をつけていたおかげで温まっている部屋は心地よい。
「まだ寝るに早いよな」
「そうですね」
「もう一本映画見る?」
「えー、もうお腹いっぱいですよ」
「そうかー」
ベッドに腰を下ろしてテレビをつける。
特に面白い番組もないからもう一度消して、風太は横たわった。
それにつられるように汰絽も横たわって風太を見つめる。
「きれい」
「ん?」
「風太さんのおめめって、お空が埋まってるみたいにきれい」
すっと伸びてきた指先が風太の頬を撫でる。
優しい指先が何度も頬を撫でるのが気持ちよくて、風太は目を細めた。
ゆるゆると眠気が襲ってくるが、目の前の少し頬を染めた汰絽がどこか魅惑的で、いろいろな気持ちが沸き上げてくる。
なんでも頬を滑っていく指先を捕まえて、キスをした。
「お前の若葉みたいな瞳もきれいだけどな」
「そう、ですか」
「きれい」
体を引き寄せ、抱きしめる。
足をからめあって、どちらからともなく唇を重ねた。
「ん、」
「汰絽、好きだ」
「んん、僕も…」
戯れるように交わし合うキスの中で、お互いを思う言葉を口にして笑いあう。
自分の言葉に汰絽が嬉しそうに笑うのが、風太はとても嬉しかった。
そっと寝巻きの裾から手を滑り込ませ、柔らかな背中を撫でる。
汰絽がピクリと体を揺らすのを感じ、すぐに手を離した。
「くすぐったい?」
「ん、ふふ、くすぐったかったです」
「明日、何する?」
「洗濯物もためてないし…、お出かけしたいです」
「そうだな。どこ行きたい」
「デート、したいです」
「お前、眠いだろ」
「うん…、眠い。でも、デートしたい…」
「わかった、デートな。べたべたなデートコース調べとくから、お前もうねっちゃいな」
「風太さん、おやすみの…」
「はいはい」
うとうととし始めた汰絽とともに布団に入り、そっと額にキスをする。
少しだけ不満そうに唇を尖らせた様子を見て思わず笑った。
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