可愛くてたまらないのです
「チンチラ」

「チンチラは普通なんだな」

「マンチカンさんにアメリカンにゃんこー」

「おお、アメリカンにゃんこ…」

「かわいー」

「おお、可愛いな」

風太は汰絽の面白さに耐え切れずに顔をそらして盛大に笑う。
それから、汰絽の頭をぽんぽんとして、笑い続けた。
頭にはてなマークを浮かべながらも、黒にゃんこの隣にある籠に入っていたにゃんこを持ち上げた。


「…蜂蜜みたいな色です」

「蜂蜜? うわ…、それ、汰絽にそっくりだな」

「こっちの白にゃんこさんは風太さんに似ています!」

「おー? …そうか?」

「そっくりです。かわいいー」

「そうかい。…じゃ、こっちはむくだな。で、これが親父か」

「ふふ、すごい」

籠の中の4匹を見ていた風太は、残りの小さな猫を持ち上げた。
蜂蜜色をしていて、小さな釣り目はむくにそっくりだ。
4匹を籠に戻し、籠を見る汰絽の嬉しそうな表情がたまらない。


「春野家」

「おっ、うまいな。お前」

「うへへー。可愛いですね、あ、キーホルダー…」

次はキーホルダーの棚に向かっていった汰絽は、キーホルダーを吟味しだす。
猫のほかにもペンギンやキリンなどがいるが、汰絽は目もくれずに猫ばかりを眺めている。
そこにもロシアンにゃんこは当たり前のようにぶら下がっていた。


「おー、可愛いサイズだな」

「お値段も可愛いです。春野家もキーホルダーになってますよ! 別々になってますが」

「ほんとだ。…たろ、ほしい?」

「欲しい…です」

汰絽が、可愛い、と猫のキーホルダーの頭を指先で撫でる。
そんな姿が可愛くて、風太はそれを手に取った。


「春野家、買ってやるよ」

「わ、悪いです…。クレープも電車代も出してもらっちゃったし…」

「いいよ。あと、むくの土産も買わなきゃだな」

「…あう…」

「じゃあ、俺も付けるから、俺の分は汰絽が買って。で、むくの土産はふたりで出そうな」

「はいっ。…つけてくださいね」

ああ、と返事をすると、汰絽は嬉しそうに頷いた。
むくのお土産は、キーホルダーとぬいぐるみの春野家を買おうということになった。
汰絽は手にたくさんのにゃんこを抱えて幸せそうだ。
風太は、ロシアンにゃんことアメリカンにゃんこも手に取った。


「ロシアンにゃんこさんとアメリカンにゃんこさんはどうするのですか?」

「ん? 名前が可愛かったからな。俺の部屋に置くよ」

「…? 風太さんも、可愛いの好きですか」

「おう、好きだぞ」

そう言って、汰絽に笑いかける。
汰絽も嬉しそうに微笑んで、ふたりはレジに向かった。
店員の男の人が大量の商品に目を見開いて驚く。
幸せそうな表情をして可愛い紙袋に入れられるにゃんこを眺めた。
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