みいつけた
「…ど、どなた様ですか…?」

「どなた様? 俺様ですが! …ん? 俺のこと知らないの? 君」

「しつれいながら、ぞんじあげません」

「そう? 君、面白いねぇ。こんなところで何をしていたのかなぁ?」

「お掃除を…」

「そう。でも君の周り、すごいことになってるね」

ちゅっと飴に口付けして、その飴が汰絽の傍を指し示す。
そちらに視線を向ければ、埃があたりに散らばっていた。
飴の人の足元に落ちている埃も目に入った。


「もう一回掃除しなきゃだねぇ」

「うう…」

「そこの人に手伝ってもらったら早いんじゃなぁい?」

「ぁ…、よしくーん。起きてー起きてったら起きてー」

「やめろたろ、俺を起こすんじゃない。俺のことはもう忘れろ」

「よし君、起きてるじゃない。手伝ってー」

「…」

飴をなめている人の言葉で、汰絽は好野を起こして掃除を再開した。
一生懸命、埃を集めて、ちりとりへ移す。
そんな作業をしているうちに、好野の顔色は綺麗に白くなっていった。


「はるのんなにこれ超シュール」

「…おい、俺が人を探してるって言ったよな」

「そうだねー、てか超シュールなにこれまぢやべえ」

「杏、話を聞け」

「なに」

「そいつ見つかった」

「は?」

なかなか話を聞かない飴の人、杏は目を開き、静かにしていたもうひとりを見た。
そこにいたのは、綺麗な白髪をした人。
掃除をしていた汰絽は好奇心からちらりと視線を上げた。


「あ…」

小さな声をあげて、好野のほうをむく。
好野はそんな汰絽にあちゃーという様に、額に手のひらをくっつけていた。
それから、汰絽にちょいちょい、と手招きする。


「今、そこにいるのが、ほら、汰絽が聞いてきた人。隣の人は今野杏先輩。わかったか? 絶対に失礼なこと言うなよ」

「ん。がんばるね」

好野ににっこりと笑って、敬礼してから、汰絽は箒をもつ手を動かした。
prev | next

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -