真っ白な肌
むくを送り届けて、汰絽とも生徒玄関で別れた。
朝、降っていた雨は晴れ間を見せている。
屋上に出て、大きく息を吐き出した。

計算して、サボれる分はサボる。
今の時間を含めても、まだサボれるな、と考え来た屋上は雨上がりの独特な香りを漂わせていた。
固いコンクリートを踏みしめて、フェンスに体を預ける。
それから、まだ曇っている空を見上げた。
思い出すのは、今朝のこと。
白い肌とか…儚い雰囲気の汰絽を思い出す。
やけに焦がれた想いが胸を燻らせた。


「白かったな…」

とか、思わずいやらしい独り言が零れて、ひとつ咳払いをする。
恥ずかしさからの咳払い後、ぶふ、と耐えかねたような笑い声が聞こえてきた。
振り返るのも、それに答えるのも面倒で、風太はポケットから煙草を取りだす。
ライターも一緒に取りだして、火をつけた。


「はるのん、誰の肌が白かったのかなー?」

にやにやしながら近づいてくるのを感じる。
舌打ちをしてから振り返り、背中を柵に預けた。


「誰の肌でもいいだろ」

「汰絽ちゃんだなー?」

「…」

「図星だー。なに、とうとう一晩明かしちゃったー?」

ちげぇよ
と、呟けば、目の前のにやにやとした顔は、心底つまらなそうな顔をした。
その顔の通り、つまらないの、と言葉が飛んでくる。
あまりに腹立たしい態度と言葉に、近づいてきたピンク色の頭を殴った。
煙を吸い込んで、深く吐き出す。


「らんぼーだなぁー。で、どうしたのさ、珍しく思い悩んじゃってー」

「別に」

「悩んでるでしょーが」

「うぜぇ奴だな…」

風太のうんざりとした声に、杏は軽く笑う。
ゆっくりと歩いて、屋上の柵に背中を預け、風太と同じように煙草を吹かした。


「ま、風太が俺に相談しないのはいつものことだけどさ、思い悩んだ末に、やっちゃったー…なんて、笑えないっしょ?」

「そうだな」

「棒読み!! …我慢できなくなったら、相談しろよ? いい子紹介するからー」

「うっぜ。ビッチ」

「俺、やられたことないからね!!」

杏の優しさを感じながらも、やけに腹が立ちもう一発、今度は頬に喰らわせた。
それから、短くなった煙草を携帯灰皿に押しつける。
もう一本新しいのを取り出して、火をつけた。
ゆっくりと吸い込んで、息を吐き出せば、先ほどまでの焦燥感は息を潜めた。
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