身分違いの恋いつものように自室で本を読んでいたら、その人は現れた。
金色に輝く髪と吸い込まれそうな赤い瞳を持つ、絶対的な王気を放つ人。
私がよく知る人物で、私が一番愛している人。
名はギルガメッシュ。
私には勿体無さ過ぎて罰が当たりそうなくらい優秀なサーヴァントだ。
「貴様はいつも本を読んでいるな」
『え、はい。好きですから』
「今日は何を読んでいる」
『恋愛小説です。身分違いの恋をテーマにした』
珍しく王様が私の本に興味を示しているようだ。
いつもは暇な時くらいにしか見ないというのに、どうしたんだろうか。
「ほう、身分違いの恋とな。面白いではないか。どちらが格下なのだ?」
『女性の方です。惚れたのも、女性の方からなんですよ』
「益々面白い。まるで我とお前のようではないか」
どういうわけか、本を取られて寝台に組み敷かれた。
本は王様が放り投げてしまって、ベッドの近くに無残に置き去りにされている。
そちらも気になるが、今は王様の方を気にかけるべきだろう。
『王様…?』
「我を置いて何を読んでいるのかと思えば、あのような物だとはな」
『えっと、もしかして、嫉妬ですか?』
「察しが良いな、褒美だ」
そう言った瞬間王様は私にキスをしてきた。
獣のように私の唇を貪って、私の口内を蹂躙する。
よくされるけど、やっぱり王様のこのキスは慣れない。
頭がクラクラして、何も考えられなくなってしまうから。
「どうした?キスだけでは物足りぬか」
『十分、です…。私みたいな下賎の者は、王様とキス出来るだけで一番の幸せ者ですから』
「欲が無いな。だが我は足らんのだ。魔力が、等という戯言は抜かすでないぞ。貴様が足りんのだ」
そしてまたキスをされた。
少し濡れた唇は何度も何度も角度を変えて重ねられ、私の思考を掻き乱す。
王様にされるがままの私はただ受け入れるのみなのだ。
「今宵は一晩中我に付き合え。良いななまえ」
『はい。ギルガメッシュ様…』
降ってくるキスの雨を、私は喜んで受け入れた。
身分違いの恋2011 11/27 やく
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