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都市伝説。現代発祥の根拠のない噂話、口承。
なんとも素敵な響きである。

至って普通の私立大に通う平凡な学生である俺は、ネットでの都市伝説ネタ巡りというちょっと変わった趣味を持っている。

小さい頃から古い言い伝えだとか、実話が元の昔話だとかが好きで、それが高じて今に至る。
暇さえあれば検索して読み漁るほどだ。実際の真偽はともかく、話の内容としては信憑性がそこそこ高くて面白いものが多い。中でも体験談は特に興味深い。
今日も俺は食堂で飯を食いながら、日課のまとめサイト巡りをしていた。

「匠〜、今日の2限のノート貸して…って、お前まーたなんか変なもん読んでんのかよ」
「おー原口、久々に学校来たんだな。2限来週小テストだってよ」
「だからお前にノート借りるためにわざわざ来たんじゃん」

原口は大学に入ってからできた、数少ない俺の友人である。インドア派な俺とは違ってしょっちゅう遊び歩いている所謂パリピという奴だが、ウマが合うのでわりと一緒にいることが多い。まあ最近は遊びに忙しくて学校にすら来ていなかったが。

「お前これ以上休んだら単位危ねえぞ。せめて小テストはちゃんと受けとけ」
「そのつもりだけどノート取ってねえからやべーんだよ。ていうかさっきの聞こえんかった?ノート貸してっつったんだけど」
「ふざけんな。つかこの前も別の講義のやつ貸してやったばっかだろうが」
「酷い!そこをなんとか頼むよ匠ちゃん!!」
「俺にメリットがない」
「ぐぬぬぬ……あっ!そうだじゃあとっておきの情報教えるから!!」
「何それ」
「匠ちゃんがだーいすきな都市伝説情報!」
「乗った。金曜にはちゃんと返せよ。俺が勉強できん」
「ヤッタ〜〜〜〜!!!ありがとう大好き匠ちゃん!!」

全くもって調子の良い奴である。
しかし、ネタに釣られた俺も人のことは言えないので黙っておく。
それから、ちゃん付けは死ぬほどウザいのでやめていただきたい、という気持ちもわざわざ言うのも面倒なので口には出さず、態度で示しておくことにした。


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