てにす | ナノ
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イライラ イライラ

チラッ(ビクッ)



「銀ちゃん」
「あんだよ」


折角、神楽ちゃん達が気を使って二人にしてくれたのに当の銀ちゃんはジャンプに夢中。…しかも不機嫌ときた。ジャンプじゃなくて私に構っての意味を込めて呼びかけてみてもご覧の通り、不機嫌オーラ全開の睨み全開で…


「ごめん…呼んだだけ…」


反射的に謝ってしまった。それでも私、めげません。気を取り直してレッツ・トライアゲイン!


「銀ちゃん、そろそろお昼だし…お腹空いてる?」
「空いてんに決まってんだろ」


はあ、と溜息を吐きジロリとこちらに目を向ける。…う。気が利かねぇ女だな、みたいなオーラが銀ちゃんの周りに漂ってるよ…。


「ごめんね!今何かつく…」
「いらねえ」
「え…」
「いらねえよ」



全く何がしたいのこの人。



「どうして…そんなイライラしてるの?」
「は?別にイライラなんてしてねーし」
「してるでしょ」
「してねーって言ってんだろ。」
「ったら…だったら、八つ当たりしないで」


そこまで言い切って大きく息を吐く。銀ちゃんは、うんうん唸った後、読んでいたジャンプを乱暴に閉じ、ジャンプ片手に私の方へと歩いてきてこう告げた。「うるせーな」
そう言って笑う。ホント、意地悪な人。


「足りてねんだよ…糖分が。」


(ああ、)納得。



「だからその場凌ぎに甘いキスなんて…」



目を閉じる間もなく唇が重なった。





「っ…満腹でしょう!」



適当な言葉を掛けながら歩いていく銀ちゃんを、熱が上った顔で追いかける。ジャンプで肩をトントンて叩きながら何かねーかな、なんて冷蔵庫の中を漁る銀ちゃんを、可愛いな、なんて思ってたり。ああ、本当に、可愛い人です。



耳が真っ赤よ糖分王!