てにす | ナノ
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「……ん…」


今日も日が昇って、"朝"がきた。朝日がカーテン越しに輝いている、こんな朝はロイヤルティーを嗜みたい気分だ…いやジャスミンが個人的には好きなのでジャスミンティーな気分だ。寧ろ年中ジャスミンティーな気分だアラビアン。アラ人とは何処の国をいうのだろうか。アラ人は何処の国に生息している?アラ人とは一体何処…。いやいやちがくて、アラジンだろ俺。鼠の王国のアラジンだろう。
ところで、隣で気持ちよさそうに寝ている女は誰だ。いや誰がとかそういう問題じゃない。そんな次元の話じゃなかった。幸せそうなアホ面をしたコイツはあろうことか あの気高きお方、十代目の妹君だ。十代目のご親族ということじゃなければ、今すぐにでも涎垂らしたコイツの口にダイナマイトを突っ込んでいたところだ。このバカ女ときたら そんな俺が居ることも知らずに、涎を布団に垂らしながら俺の愛用の安眠枕を抱きながら少々でかいと思われる寝息…いやこれもういびきって言っちまってもいいんじゃねーか?くらいに大きな寝息を立てている。思わずダイナマイトを掴みたくなる。
こんなに薄着で無防備な寝顔で…コイツは何でここにいる?何があってここで寝ているんだろう。ここは俺の家で俺の自室ではなかっただろうか。いや確実に俺の家で俺の自室に間違いは無い。この女は自分の家さえも解らなくなってしまったのか。方向音痴にも程がある。
朝から盛大に溜息を吐いて、隣で眠るこいつの頬を撫でてみた。「ん、」くぐもった、少々かすれた声を上げたが起きる気配は無い。くすぐったそうに身をよじっただけだった。起きたコイツへの第一声は何がいいだろう。それよりも十代目になんて申し上げればいいんだ。 「ごく、…す き…」




不安も何もかもこいつの寝言で全てが吹き飛ぶ。



「は?獄がすき? ケーキが凄くすきーとは言ったような気がするけど…」
「なっ…!(そんなオチかよ!)」
「ていうかさ、獄寺君…俺の妹に何してんの?何で獄寺君のベッドで寝てたの?ねえ何で?」
「へっ?!」
「ごめん嘘ー。夢の中に隼人出てきたよ」
「あ、えっと…」
「何喜んでるの?ちょっと獄寺君きいてる?」
「は、はい!」


/ソミュール