てにす | ナノ
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仁王雅治イコール詐欺師。詐欺師という異名を持つ仁王は傍から見れば頭の回転も速いし、キレる奴だと思う。私も例外なく彼は天才なんだろうと思った。だけど最近思ったことがある。仁王は一見、人間観察に長けていて鋭いし隙がない男だ。だけど実際は結構…バカなんじゃないかと思う。ちょっと天邪鬼なだけで割りと解りやすい男だと、私は奴とつるんでみて思った。行動に隙がないのは、先が読めない、不可解、なのは彼の行動にさして“何”もないからなんじゃないだろうか。その“何”がなんなのか説明しろと言われてもうまく表せないのだけれど。とにかく実はあんま考えて行動する人間ではないのかもしれない。いやなんか仁王ってずば抜けてる感じでも割りと普通の男子中学生なんだよ。だから深読みすればするほど仁王の思う壺って訳だ。それが詐欺師という異名を持つ由縁なのかもしれない。ナチュラルに頭の回転が速いと言ったところだろうか。ナチュラルという表現が正しいかはわからないけれど。
(例を挙げると纏まらなくなってしまいそうなので、そこは各々の解釈でなんとかして欲しい)

私の持つ仁王のイメージは、表面上はかっこよくて女の子のハートをゲッチュしてはポイと捨ててしまうような(私からしたら最低な)男という認識を持っていたけれど、中身自体は結構可愛い奴なのかもしれない。てかアホなのかもしれない。てか仁王はただのかっこ付けなのかもしれない。喋り方なんかも仁王が使っているからちょっと素敵になったみたいなだけで周りがそんなキャラ(仁王弁みたいな)ばっかだったら正直イタイ。そうなるってくると仁王自体もかなり痛いことになる。顔を覗いてしまえば痛いだけなのかもしれない。いやそれじゃ仁王があんまりだ。不憫すぎる。でも初対面の人がこんな喋り方だったら「…え…」って微妙な反応をするだろう。その時点で距離を置かれたも同然だ。おっと、思考がずれてしまった。仁王弁、これぞ仁王マジック。詐欺である。そもそも彼は何故あのような喋り方を好んでいるんだろうか。詐欺である。女の子達はみんなあの容姿とかに騙されてるだけなんだ。詐欺だ。でもそれはそれで(容姿的な意味で)様になっているので何もいえないのが癪だが。ここで普通の男子がかっこつけだったとしたら笑ってやれるのに。いかんせん仁王の容姿は他の男子達と比べると綺麗に整っているのだ。かっこいい奴のかっこつけってそれ自体詐欺な気もする。一見そうみえて実は…ってギャップのある男。それが私の中の仁王雅治だった。

とりあえず天邪鬼、詐欺師、バカ、アホ。銀髪目立ちすぎ、お前実は関東から出たことないだろ、それが仁王だ(最後の辺りは違うような気もするが)。そう思うようになってからは表面上でもイメージが変わってきた。ていうかアホにしか見えない。人間最後はやっぱ中身だよなあ。ていうか仁王の場合顔もいいけど。偏見というのだろうか、そんな物を持ってる内はその人の事を語ってはいけないような気がしていた。だからこうして中身を理解できたという事が嬉しかった。方向性は若干おかしくなってしまったのだけれど。そして、そんな私の中のイメージを踏まえて、私はある事に気付いたのだ。出来れば私の思い込みなんかじゃないと願う。誰に。仁王にだ。確証はあるようでない。



「仁王って実はあれでしょ?」
「アレとは」
「実は女の子には優しいよねえ」
「俺は誰にでも優しいぜよ」
「この前切原くんに水かけてたのは?」
「あれは俺の愛情表現。てか潤いを与えてやろうと思っての」
「あー、やっぱね。そっかあ。うんうん」
「え、ヤメテ。突っ込んで。寒い」
「仁王って見た目的に追う恋より追われる恋の方がしっくり来るけどさあ」
「あえてスルーか。そこは突っ込む所じゃないんか。別に赤也のことなんてどうも思ってないからな。恋愛感情とかねーからな」
「実は追う恋の方が好きだよね。ダーツとかシューティングとか好きだもんね」
「やっぱスルーなんか。なんかもういい。…俺の好みとか関係あるんか」
「あるよ。ダーツは的目掛けて飛んでいくでしょ?それにガンシューティングは追いかけるものだし。ホラ、やっぱり仁王は追う方が好きなのよ」
「面白い見解の仕方じゃな。頷くしかないぜよ」
「でさ、思ったんだよね。仁王って私のこと好きでしょ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「あー、はいはい。好き好き。愛しとう」
「いや何それ。突っ込んでよ。寒いじゃん。何でそうなるとか言うところでしょ」
「オウム返しって言葉知ってるか」
「ていうか認めちゃうの。やっぱそこは否定しようよ」
「いやいや。まったくその通りナリ。てか自分から振っといてそれはどうよ」
「いやいやいや。何か反論してよ」
「いやいやいやいや。正論に反論できるわけなか」
「ていうかマジで? 」
「大マジ。まーくんも吃驚じゃ」
「(…まーくん…)」

彼は近づきにくいイメージを持たれやすいのかもしれないが、ホントはノリのいいやつなのかもしれない。結構とっつきやすいよね。ていうかこれは両思いなのだろうか。この後私はどうするべきなんだ。誰か教えていただきたい。



実は結構当てずっぽう

とりあえず言ってみるもんだなと思いました、まる


お前さんにはなわんの、とか笑いながらわしゃわしゃと私の頭を撫でる仁王に「ホントかよっ!」とツッコミたくなった。かなわないと言いつつ優勢にあるのはいつも仁王の方なのに。これが計算とかだったらまずは笑っといてあげよう。