「で、なんでこの人ここにいんの?」 「その前に何で俺達はここにいるの」 「ふん、学生の放課後など決まっている」 「部活じゃね」 「生徒会だよ」 「お前らはバカか! こんな時だけ真面目ぶりやがって!」 「生徒会長の台詞とは思えぬ発言だ」 「まったくもってその通りです」 「生徒の風上にもおけぬ輩だなこいつは」 「生徒の代表がこんなことでいいのかな」 「何なの君達さっきから!? 別に普通だしこれが」 「へー、そうなんだ。俺友達いなかったから知らね」 「私も友達と来たのは実はこれが初めてです」 「家族とかとはあんの」 「うん。ちっちゃい時だけどね」 ということで、何故か私達は今王子に連れられカラオケボックスの一室にいるわけですが。自分でも“ということで”の前の部分がわかりません。何でこんなことになったのかもわかりません。ただ放課後藤城君と二人で「鈴木さん喋りかけてこなかったな」って話をして、朝の話と昨日の話をしていただけなんです。そこに颯爽と現れた王子に「おやおやお二人さん今日も一緒かい。そして蓮は今日も不機嫌そうだね、昨日からずっとなの?」と声をかけられ、気が付けばカラオケボックスの前まで引っ張られていました。 彼曰く「ストレス発散とは心の癒し。音楽はいい、心を癒してくれる」だそうです。ちょっと古くてありがちだなあ、と思いましたがあえて口にはしませんでした。藤城君はめんどくさそうに「お前考え方古いんじゃね」と言っていました。藤城君の棘をものともしない王子は流石だなぁと思いました。 「さあ、ずずいとその美声をこの部屋に響かせてくださいな!」 「いやトップバッターとかないでしょ。カラオケとか慣れてないんですけどー」 「いいじゃん好きなの歌えば。ポケモンの初期のだったら俺もわかるし」 「藤城君の口からポケモンなんて出るとは思わなかったよ」 「俺でもそれくらい知ってるからー日本人の常識でしょ」 「常識…? てか何でアニソンなの、この前CDかしたでしょ、好みわかるでしょ」 「あー、アニソンじゃなくてキャラソンね、はいはい」 「別にそれだけじゃないから!」 「二人がいかないなら俺最初に行くけど、ちゃんと歌えよな」 「気が向いたらな」 「なんかみんなジャンルばらばらな気がするんだけど…」 「クラシックってカラオケにも入ってるの?」 「入ってないんじゃない、かなあ?」 「残念だったな金髪、クラシックはねーんだと」 「カラオケ来てクラシック歌うか! つか歌えんわ!」 「どれだよ」 「カレーライスにゃかなわない」 「俺をネタキャラにするのやめてくれない」 「てかそれかなりマイナーだよ…」 ← 32 → |