3丁目のコンビニで待ってる。そう藤城君からメールが来たのは家を出てすぐのことだった。待ってる、ということはすでにその場にいるということなんだろうか。 とにかく階段を駆け下りて3丁目のコンビニまで全力疾走することにした。藤城君からメールとか、朝から待ち合わせとかすごく珍しいからなんか新鮮で妙な感じがした。嫌な予感がほんのすこしする。ていうか3丁目のコンビニってどこだかわかんない! どこの3丁目なのか解らないけど、なんとなく以前学校をサボって一緒におでんを買ったあのコンビニだと思う。 「あ、きた」 「う、うんっ、来たよ!」 「そんな急いで来なくてもよかったのに」 「だ、って、早く来なかったら、藤城君待ってたでしょ、ずっと」 「まあ呼び出したの俺だしね」 コンビニのそばにあるバス停に藤城君を発見。家からここまで全力疾走は自殺行為と判断したので途中から歩いてきたけど、なんとか30分以内に来ることができた。ちなみに家から学校までは20分徒歩でかかるのだ。藤城君が指定したこのコンビニは、学校を通り過ぎたとこにあった。 「菊崎の家から近い方がよかったんだけど、家知らないからさ…」 「いいよ、全然っ!」 「まさか走ってくるとは思わなかった」 「途中歩いたけどね、」 「お前大丈夫かよ」 「つ、疲れた…!」 「これからおごらせようってのに、今からそんなんじゃ俺が心苦しいだろ」 「……はい?」 「つーわけで菊崎、俺の朝食よろしくね」 「はあああああ?!」 清清しいほど無表情でぽんと私の肩に手をおく藤城君の言動が理解できない。 「な、ななな、なぜに?」 「君が昨日休んでくれたおかげで俺がどんだけ苦労したと思ってるんですか。鈴木さんにリンチにされそうになったんだぞ」 「え、わ、…大丈夫?!」 「うん、まあ。めっちゃ機嫌悪いけど」 「現在進行形で悪いってどんだけですか」 「つーことでクリームパンよろしくね。あと野菜ジュースと干し梅」 「おごるの決定ですか。ていうかこのためだけに呼び出されたのか…私…」 「このためだけじゃないよ。朝一で菊崎の顔が見たかったのもある。昨日休んでたし平気かなと」 「うん、熱は下がった!」 「熱だったのか」 「心配してくれてありがとー」 「や、菊崎のっつか俺の心配しかしてないんだけどね」 「そういうことはほんとでも言わなくていいんだよ」 「ホワイトライですね」 「私チョココロネにしよっかなぁ」 「学校つく間に昨日の出来事をこと細かく聞かせるから」 「やだなぁ…八つ当たりは王子にしてよー」 「そういえば菊崎、クラスの連中におかしな子扱いされてたよ」 「このタイミングでそれ言う? うわー傷ついたよ私」 「安心していいよ俺の方がおかしいから」 「それ自分で言っていいの?!」 「冗談だし。一番おかしい奴はあの生徒会長だろ」 「否定はできない」 ← 30 → |