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「#幼馴染」のBL小説を読む
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うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいんだよ。

ガヤガヤと賑う教室は私の脳を激しく締め付けた。頭が痛い。楽しそうな声で溢れてる教室は私の気分を著しく害していた。気持ち悪い。私が入れる隙間も受け入れる入り口もここには存在していなかった。私が変わろうとしないのがいけないのか、ありのままの私を受け入れてくれるものはないのか延々と考えてみたりしたものの、答えは未だ迷路の中だった。頭の中に笑い声が、重なる。あの中に私の声は混じっていない。頭が爆発しそうだ。このままでもいいはずなのに、不満なんてなかったはずなのに、どうしてこんなにイライラするの?何に対してイライラしてるんだ自分は。それすら解らなくなるくらいにオカシクなっていたんだ。私があの輪に入れないから?目の前で広がる光景は私に孤独という戒めを与えた。嫌気が差した。羨ましいと思った。けどあの中に私は入れなかった。私に魅力なんてないからだろうか。取り柄というものが一つでもあればよかったんだろうか。女の子が笑った。周りに居るグループの子達も笑う。冗談を言い合っている。楽しそうに。うるさいうるさいよ、うるさい…!

気が付けば手が汗ばんでいた。ぐっと拳を握った。イライラする。声が耳に入ってきて脳に伝達してくる。やめてよ、入ってこないで。私の中で広がる痛みをどうにも出来ずにただ静かに目を閉じた。より一層声が響いた。やめろやめろやめろ笑うなうるさいだまれよみんな消えろ死ねよ消えろ無くなれみんな消えちゃえよイライラする。

「ばかみてー」

そう、そうだ。そうだった、私が言いたいのはその一言。頭の中でマッチングしたその一言で爆発寸前だった私のナカの何かが治まった。まさに…目の前で繰り広げられる“劇”を表すならそんな感じだった。でも…一言に纏めたのは私じゃ、ない。ハッとして声が聞こえた方を見ると、椅子の後ろ足でバランスをとりながら片足を机に乗っけている男子がいた。誰だこの人。いつから隣に居たんだろう。仲間意識のそれと似たものが湧き上がってきた。グツグツとボルテージを上げていくみたいに。目が、合った。

彼は現状を酷くつまらなそうに、冷たい瞳で見ていた。目が合うと片眼が細められた。呆れたとでもいいたげな表情に時を忘れた。めぐりあう、そんな感じだろうか。ファンタジー。

「アンタ、そんな顔してるよ」

私?違う、君だよ。君がそんな顔してる。

「目の前の女子達さ、結局みんな利用してるだけなんだよね。一人じゃ何も出来ないしさ。でもそんなニセモノの友情を見せられてる俺やアンタみたいな奴はイライラするんだよ。ま、本人からしたらそれでもいいんかもしれないけど。自分は利用してるのに、自分が利用されてるとは思わないのかね。そういうゴッコを見せ付けられるとさ、無性に」

“壊したくなる”


私が欲しかった言葉を、口元に弧を描いて言い放った彼。惹き付けられた。これが、人の魅力というものだろうか?つまらなそうに淡々と語っていた彼の瞳に光が差した。彼が、椅子を床にガタンと音を立てて降ろした時、   

「何よ…これ…ッ!」

目の前で楽しそうに笑っていた女の子が悲鳴にも似た声を上げた。一瞬にして静まり返る教室。皆の目が、変わったみたいだった。

「え…?」
目の前の子の机から出てきたのは無残にも切り刻まれてボロボロになっているノートだった。それが合図だったように今まで仲良く笑っていた子達が次々に罵声を笑みを浮かべながら突き刺していく。目の前で広がっていた暖かさも輝きもそこにはなくて、短時間で絶望の図へと成り代わった。

仲良しゴッコが幕を閉じた


いや、的にされた彼女にとってなだけで、結果としてはニセモノの友情とやらは続いていた。これはゲーム。仲良しゴッコに対するストレスの発散。的になったのが彼女だっただけ。実に人間とは醜く賢い生き物なのだ。恐ろしい。同情したくなるような場面を周りはは面白そうに見物していた。中には賛同している奴等もいた。その光景から目を逸らして隣に居た彼に視線を移す。ニコリ、天使を連想させるほど綺麗な笑みを浮かべるだけだった。ぞくりと背筋に感じる。恐怖からくるものじゃない、これはなんと言う気持ちだろうか?



開幕


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