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「あ、ザキちょっとコンビニ行ってジャンプ買ってきてくだせェ」 「ええええええ!なんで俺なんですか!」 「おい総悟…また一人でサボる気じゃねえだろーな!」 「いやですね土方さん。はなからそのつもりでさァ」 「今は勤務中だろーがァァァァァ!!」 「すき焼きパーチーしましょうっ!みんなで!」 「そういや近藤さんは何処行ったんですかィ?」 「いつものとこですよ」 「あの人はまた…」 「何か用事ですか?」 「いや、ちょっとこの書類に…」 「ほー、珍しく書類整理か」 「局長の似顔絵を描いてみたんで見てほしくてー」 「総悟ォォォォォ!書類ボロボロじゃねーか何してんだテメーは!」 「すき焼き、パーティーを、しましょうっ!!」 「うるせえええええええ!」 「…しつこいって」 「お前居たの。山崎並の地味さじゃねーか」 「あんまりだ!」 「あんまりなのはお前の頭だろうが!」 「あんまりだ!」 「黙れ!」 「すき焼き!」 ちゃぶ台に広がっていた書類をずさー、と払い落として両手でちゃぶ台を叩く。まるで子供がわがままを言う時の動作だ。土方さんの額に青筋が浮かんだ。まさしく鬼の形相だ。山崎さんが青い顔をしながら床の上に散らかった書類をかき集めている。その横で、沖田さんが紙ヒコーキをおっていた(あれって大事な書類なんじゃ…ばら撒いた私が心配するのも変だけど) 「すき焼きパーティーをしたいんです!」 「勝手にやってろ!」 「皆で、っていうか土方さんと、が、い、いんです!ご一緒してください!」 「俺はご一緒したくない」 「俺すき焼きやってやってもいーですぜ」 「ぶっちゃけ沖田さんサブなんで。メイン土方さんなんで」 「なんでェ、折角 加勢してやってんのに。ひでーや」 「沖田さんはやりたいって!」 「じゃあ2人でやってろ」 「近藤さんもやりたいって!お肉買ってきてくれるって言ってました!」 「あ、近藤さん釣った?」 「お妙さんの生写真でイチコロでした!期待してろって!きっと高いお肉ですよ」 「ちょ、局長ォォォォ!パシられてるよあの人ォォォォ!!」 「じゃあ3人でやってりゃいーだろ」 「土方さんがいないんじゃ、意味がないんです!」 バシンとテーブルを叩いて立ち上がれば土方さんの肩が跳ねた。 「な、なんでだよ」 「私は土方さんと思い出作りがしたいんです」 「は?」 「山崎ィー、ホテル一室とってこーい」 「何でそうなるんですか!」 ずずい、と隠し持っていたすき焼きのたれ(ちなみに工バラ)を土方さんの顔面にめり込ませればくぐもった声が聞こえた。 「さあ!みんなですき焼きやりましょう!山崎さん野菜買ってきてください」 「何でみんな俺をパシろうとすんのかなァァ!」 「す、き、や、き!」 「わかった!わかったから、っ!」 持っていたすき焼きのたれをひったくられる。涙目の土方さんの右頬にはうっすら跡が残っていた。 「すき焼き…!」 「その前に何でテメーはそんなにすき焼きがやりてーんだ。時期的にアウトだろうが」 「すき焼きに季節なんて関係ないんです。なんたって私の好物ですから!」 「お前の好物が基準かよ!」 「それに、今日は…土方さんと、私が出会った日ですし…」 「あ、マジですか。おめでとーございまーす。もれなく死んでくださーい」 「もれなく死んでやるかァァァァア!」 「死ねよ土方ー死ねー土方ーすき焼きの鍋に頭突っ込んで死ね」 「テメーが死ね沖田てめえコノヤロー!!」 「沖田さん!もう、空気壊すのやめてくださいよーっ!」 「だってだってぇー俺の前で土方に告白とかマジねーんだけど」 「そ、そんな告白だなんて…!沖田さん馬鹿!鍋に頭突っ込んで死ね!」 「俺のパクリとかないわぁー」 「わた、私はただ土方さんのと私の記念日を祝いたかっただけなんです…!すき焼きで!」 「そこは譲らねーのか。つか、よく覚えてんなそんな日」 「勿論です!そして土方さんがメインだとしても譲れません」 意気込んで言えば土方さんがほんの少しだけど優しい笑みで返してくれた。後ろで沖田さんの舌打ちが聞こえた。 「オイ、野菜の買い出し行くぞ」 「はい!」 はーいちゅうもーく! (右手にすき、左手に焼き)(好きやき) 「何でお前そんな肉食ってんだよ!」 「うふふ、コツがあるんですよ、コツが」 「あ、また肉食いやがった!てめえ俺メインなんだろーが少しは譲れや!」 「まあまあ終わったあとで教えますって」 「終わってからかいィィィィィ!」 「すきすきすきやきー」 「きすきすきすやきー」 「私の真似しないでください!」 「キスと好きは別だろィ」 |