ちまちま | ナノ
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今日の私は一言で表すと「凶」だった。


朝、椅子から落ちそうになったと思ったら、案の定バランスを崩し頭から落ちた。椅子の脚が壊れていた。リアルに痛かった。弟に笑われた。しかももっと色気のある下着履けよと言われた。最悪だ。遅刻しそうで急いで玄関をでたら、鞄を2階の部屋に置き忘れてた。弟が口笛吹きながら爽やかに私の側を通り過ぎた。最悪だ。
取りに戻って階段を下りる際に脚を踏み外して転落した。お母さんにもっと女らしくしろと注意された。むっとなって部屋に戻ってスパッツを急いで履いた。もうヤダ。
それでも近道を駆使して学校へと走れば、道路工事で遠回りさせられる始末。やっと学校に着いたと思ったら創立記念で休みだった事を校門の前で思い出した。しかも項垂れながら道歩いてたら沖田と遭遇。もう泣きたい。

今日の私はとことんついてなかった。
笑われた挙句、ランチを奢れと命令された。しかも脅された。怖い。泣く泣く沖田の要求を呑むと奴は笑顔で、すし屋に入ろうとしたのだ。回らないすし屋に入ろうとした沖田を全力で止め、近くに見えた学生の味方サイゼリへと引き込んだ。沖田はパスタにハンバーグそれにコーンポタージュにドリンクバーをつけた。私はお財布と相談してグラタンとお水だけ頼んだ。今すぐ逃げたい。待ってる間に沖田に今までの事をいけしゃあしゃあと話したら、大笑いされた。

「あ、俺ミルフィーユ食いたい。」

お前私の話聞いてたのかチクショウいつかお前、なんかあれ、何かすごい事してやる!

「おねえさーん」
「‥‥もうイヤ」

今すぐ帰って寝てしまいたい。
美味しそうな香を纏いながら料理が運ばれてくる。「いただきやーす」と手を合わせてから(わ、何か意外)パスタを口に運ぶ沖田を見ながら私もグラタンを口に運んだ。ガツガツ食べるんじゃなくてゆっくり食べる沖田が品の良さを漂わせた。なんか、ちょっと学校の時の沖田と違うかも。本当にどこぞの国の皇子みたいだった。あ、サディスチック星の皇子か。グラタンに入っていたエビを無言で沖田の皿によそって、沖田が食べているイカを1つ頂く。

「お前エビ嫌いなの?」
「エビフライは好きなんだけど」

もぐもぐと口を動かす沖田を盗み見ながら、今日の傷を癒した。性格もこれくらい可愛かったらよかったのに。完璧な人間なんていないんですね。よくわかりました。

「可哀相だから、俺が取って置きの幸せをプレゼントしてやりまさァ」

パスタの皿を退かして、ハンバーグに手をつける沖田の一言に何だろうと、手に取ったスプーンを手に持ったまま耳を傾ける。

「今日からお前を俺の奴隷にしてやらァ」

―― カラン‥‥、スプーンが手元から滑り落ちた。奴は不適な笑顔を浮かべ私の、


世界の終わりを飾った

(今日の私は大凶だった。)