ちまちま | ナノ
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あなたはサンタクロースを信じますか?

大体この歳にもなると信じてる人は少ないだろう。よほど純粋な人でない限りサンタは父親だとインプットされているはずだ。目の前にいる、見るからに生意気そうな財前なんて絶対信じてないと思う。奴は純粋でもなければ素直でもない。所謂ツンデレ…いや、ひねくれ者だ。だからきっと彼はサンタは父親だと思っているに違いない。
けれどその見解は間違いなのだということを私が教えてあげよう。私天才だからね。その嘘の知識を信じている財前君はきっとこの先サンタさんが訪れる事はないだろうからね。いい子の所にしか来ないなんてサンタさんは中々の差別家だ。これから私が真実を諭してあげるのだから彼はサンタの存在を信じざるを得ないだろう。
まあ、サンタは信じることから始まるものでもないし、そもそも信じるという主観からして間違いなのだ。サンタは信じることから始めるんじゃなく、サンタを始めることから始まるのだ。


「意味わからん」

うんざりしたような表情をした財前にどうしたのかと訪ねれば 「お前の話が長いんや」と盛大に溜息を吐かれてしまった。まあいい。水をさした財前君に、もっと解りやすく説明してあげましょう。私めっちゃ優しいからね。めっちゃいい子だからね。だからきっと今年は山のようにクリスマスプレゼントを貰えるんだろうな。楽しみ楽しみ。

まったく財前ったら物分りが悪いのね、ハッ(嘲笑)
つまりだ、サンタというのは単に職名に過ぎないという事で、サンタが居る居ないの話ではないという事だ。サンタはプレゼントを配る人の事を呼ぶのであってニセモノも本物もないってことですよ。そうなれば誰でもサンタさんになれるんだよ。すごくね。だから、サンタ=父親という見解は間違っている。お母さんだってサンタさんになれるのだ。
プレゼントを渡すのは男性からの方が多いという偏見からサンタは男性だと思いこんでいる人も多いのだろう。実際は女の人でもサンタになれちゃうんだなぁ これが。

「ね、素敵な見解でしょ?」
「アホか。お前サンタ辞書で引いてみ」
「いいんですいいんですよ財前君。君の裏切られたような切なさと胸の痛みはわかってますから!」
「もうお前の頭についてく自信ないねんけど」

サンタ=誰でもなれる。こんなに素敵な事実ってないですよ! 私でもなれちゃうんです! イコール私もトナカイに乗れるっちゅーことですよ!

「なんでそないアホな考えに至るのかわからん」
「私のことはサンタさんって呼んでね」
「絶対いやや」
「私は、今から、財前のサンタになるっ」
「うざー」
「はいこれ、甘味処のサービス券!」
「!‥‥サンタさんおおきにー!」


ほう
彼もサンタを信じたわ!


意味不明すぎて笑えた/ウィジー