S×R 鷹連載 | ナノ


024


島を出発してから4日目の朝を迎えた。
相変わらずどんな方法で舵をとっているのかは分からないけれど、この船は着実に次の島に向かって進んでいるらしい。
ミホークさんは、今日中には島が見えるだろうと言っていた。

「…そういえば、結局会議っていうのには行きませんでしたね」

出発した日に、召集日に今日を指定して届いた手紙。
ふとその存在を思い出して、私は隣に座って水平線を眺めるミホークさんにぽそりと呟いた。

「興味がないからな」
「そんなもんですか?」
「そんなもん、だ。それに…」

あの手紙は私が船室にあった小さなテーブルの上に置いておいたけれど、気付いた時にはなくなっていたから…もしかしたらミホークさんが処分してしまったのかもしれない。
あれが政府からの手紙で何かの会議にお呼ばれしている物だということは着いたその日に教えてもらったけれど、王下七武海全員に宛てた召集だったことはつい昨日知った事だ。
この航海中新しく色んなことをミホークさんから教わったけれど、王下七武海について教えてもらったのはその位の事で、他はあまり詳しくは聞いていない。

「…奴が来ていても面倒だからな」

なぜってそれは、あの時のピンクの人がドンキホーテ・ドフラミンゴという名前で、彼も王下七武海の一人だということを聞いて、それ以上何も聞けなくなってしまったからだ。
ミホークさんも少し険しい表情を浮かべていたし、それに何より私があの人のことを考えたくなくて話題を逸らしてしまったのだ。
自分の正直な気持ちに気付いて、それをミホークさんに打ち明けるきっかけになったとはいえどうしてもあの人は苦手だった。
得体のしれない恐怖、あの人のことを考えると、そんなものが心の中を支配して寒気さえ感じるような気がして。

ミホークさんを見れば彼もまた私の方を見ていて、その瞳に気づかいの色が見て取れた。
今はそれだけで嬉しくて、私は大丈夫です、と小さく頷いた。



「…あ、あれは島ですか?」
「そうだな」

それから暫くして、私の肉眼でも捉えられる距離に見えてきた島影。
まだそんなに日が落ちてはいないのに、どこかどんよりと暗くみえるその島は天気が悪いのだろうか。
ミホークさんに確認してみればあれが次の島で間違いはないらしい。
けれど、それと一緒に治安の悪い島だから気を付けろという言葉も返ってきた。

「何かと物騒な島だ」
「気を付けます」
「…それを持っているとはいえ、おれの傍を離れるな」
「分かりました!!」

前の島でミホークさんに貰った刀を握り締める。
ミホークさんがこんなにも念を押すなんて、そんなに治安の悪い島なのだろうか。

私はこの世界の“治安”の基準を知らない。
日本にも治安の良し悪しはあったけれど、それでも色んな法律で規制されているぶんアメリカなんかに比べれば治安は良い方だと聞いた。
しかもここは銃刀法なんてない世界だし、用心しておこうと。
その時の私はそれくらいにしか考えていなかった。

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