S×R 鷹連載 | ナノ


019


……あったかい。

私は再び沈みそうになる意識をなんとか浮上させて、目を開けた。
最初に目に入ったのは、カーテンの隙間から漏れる日差し。
そして、誰もいないベッド。

そうしてやっと背中側にある温もりの正体が分かって、思わず飛び起きようと肩が跳ねたけれど私の身体がそれ以上動くことはなかった。
腰に回されている腕によって、がっちりとホールドされていたからだ。

昨日のことを思い出す。
泣きに泣いた私を呆れて突き放すこともせず、この人はただ抱き締めてくれた。
抱き締めて、傍にいてもいいと言ってくれた。
これからも、一緒にいていいと言ってくれた。

嬉しかった、純粋に。
知らないこの世界で、恐らくただ一人私が“余所者”だということを知っていて、私が傍にいたいと望んでしまった人に受け入れてもらえたことが。

腰に回されている腕に自分の手を重ねてみる。
自分のとは全く違うそれに包まれているというだけで、安心して夢も見ないほど寝こけてしまったとは奇妙なものだ。
恋人とかそういうものではないと、思う。
私には今のこの関係をなんて言い表したら良いのか分からない。
ミホークさんになら、分かるんだろうか。

「…起きているのか」
「!!!!!お、おおおはようございます」

ぼんやりと寝ぼけた頭で考え事をしているところに、耳元で少し掠れた声をかけられるのはなんとまぁ心臓に悪いことか。
さっきまで規則正しい呼吸を繰り返していた筈のミホークさんはいつの間にか目を覚ましていたようで、何の前触れも無しに話しかけられたものだからこれ見よがしにビックリしてしまった。

「…何を驚いている」
「や、えっと、考え事を…していたので!!」

起きた筈なのにミホークさんの腕の拘束はなくならなくて(むしろさっきより強くなってはいないだろうか、これ)、私は起き上がるどころか後ろを振り返ることもできない。

「あの、ミホークさん、お、起きないんですか…?」
「……」

無言で強くなる腕の拘束。

「ミホークさーん」
「……」

私はと言えば寝ぼけていた頭が覚醒へと近付いていて、この体勢に対する羞恥心が芽生えてきてしまった。
顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
決して絞殺されそうで苦しいとかではないが、しかしそろそろ解放してほしい。
この状況が続いたらなんというか、心臓がもたないような気がする。

「もしもーし」
「……」
「ミホークさん」
「……」
「起きてますよね?」
「……」
「わ、私そろそろ起き上がりたいのですが」
「……」



ミホークさんの意図はまったくもって分からなかったけれど。
結局私が解放されたのは、それから小一時間が経過した後だった。

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