S×R 鷹連載 | ナノ


012


初めての襲撃を経験してから数刻。
もうすぐ日も落ちるだろうという頃、ミホークさんと私は次の島に上陸していた。

ミホークさん曰くグランドラインでの航海には“ログ”というものを使うらしいのだけど、ここら辺の島は距離が近いからか半日もあれば貯まってしまうらしい。
そこらへんの事情はまだ詳しく理解できていないけど、何もかも元の世界とは違うんだなーなんて驚きつつもきちんと現実として受け止めている。
この世界にやってきて2日目ではあるけれど、矢継ぎ早にいろんなことを経験して早くも適応し始めている心情には我ながらびっくりだ。

ちなみに今私達がいるのは群島の中でも最も大きな島だそうで、私にとって最初の島とは町の規模も賑わいも全くの別物だった。
例えるなら西表島と沖縄本島…とか?分かりにくいけどイメージ的にはまぁそんなとこだ。

「今夜はここで宿をとる」

そう言ったミホークさんは、比較的静かな通りにある宿屋を選んで部屋をとり。
案内されたのは相変わらず豪勢な部屋で、元貧乏学生な私は若干退け腰になりながらミホークさんに従った。

「よかった、この部屋はベッド二つあるんですね」
「…つまらんな」
「…何か言いました?」
「さぁな」

こんどの部屋にはベッドが二つ備え付けられていて、あの赤面ハプニングを回避できそうなことにちょっとだけほっとする。
なんだか不穏な台詞がミホークさんの口から飛び出してきたのには聞こえなかったふりをして、とりあえず部屋の隅に服の入ったバッグを置いた。

「行くぞ」
「え、あ、何処行くんですか?」

ぐるりと部屋を見渡して、本当に何もかも豪華な調度品だなぁと感心する。
でもそんな私を余所にミホークさんは小さな荷物を置いたと思ったらさっさと部屋を出ようとしてしまって、慌てて何処に行くのか尋ねた私にただ一言「付いてくれば分かる」とだけ答えた。
本当にマイペースな人だなぁと思わず苦笑が漏れたけれど、扉を開けて私が出るまで待っていてくれたことにはちょっと感動してしまった。


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