4,
「あっ、あっ…」
いくら何でもイキナリ挿れるワケにはいかない。
俺は一糸纏わぬ姿になった総悟を四つん這いにさせ、中指と人差し指でナカを慣らしていく。
総悟の方は既に骨抜きな状態で、くったりと顔と胸を布団につけたまま辛うじて尻だけを高く上げていた。
「ん、…ふっ…は、ひあ」
「キツくないか？痛かったら言えよ」
「アンッ…はぁ、だいじょ…ぶ」
総悟は枕を涙と涎で濡らしシーツを握りしめて、競り上がってくる快感に耐えていた。
俺の指が前立腺を掠める度に、ひくんと締まる総悟の秘所。前立腺までしっかり届けば大丈夫だろうと、俺はそこから指を引き抜いた。
「…じゃあ、挿れるからな。いいか？」
そう聞くと総悟は一度だけこくん、と頷いた。
了承を得た俺は総悟を仰向けに戻し、カパリと開いた足に体を入り込ませた。
「入るぞ」
そう言って総悟の細腰を引き寄せ、大きく膨れた自分の怒張を総悟の秘所にあてがう。
総悟はごくりと息を呑み、両手はそれぞれシーツを握って来るであろう衝撃の波に身構えた。
「ぅあ、っ…」
「くっ…」
互いに荒く息を吐きながら、入り込み…迎え入れる。充分に慣らした筈だったがまだ足りなかったのか…それとも総悟の締まりの良さが災いしてか、全て入りきるまでは苦労した。
「はぁはぁ…、んっ……入り、やしたか…？」
「ああ…。全部入った…」
「…あったかい…」
総悟は目に涙を浮かべ、うっとりと瞼を落とす。
俺はそれを合図と受け取り、ゆるゆると腰を動かしはじめた。
「ん…！、あんっ」
「…っ、」
シーツを握る総悟の手がビクリと強張り、俺は総悟のナカの窮屈さに眉根を寄せた。こんな緩い扱きにも総悟のナカは熱くうねり、俺自身を締め付ける。それがたまらない…。
俺は総悟の腰を掴む腕に力を入れ、徐々に律動を早めていく。
「はゥ、あ、あァッ…ひ、じか…！ぁ、やぁんッ」
「…、総悟っ…」
「やん、ひぁあ…ァアン、うっ…」
総悟は俺の首に縋るように腕を絡め、大きく開いた両足をがくがくと震わせた。頬は涙でじっとりと濡れ、汗で額に張り付いた髪の毛と赤い口端から伝う涎が官能的に見えた。
「…っく、…！」
「ひんっ…アアンッ！ひじかたさ…そこ、もっとぉ…！ふ、ああ！」
どうやら俺の先端が、総悟の前立腺を探り当てたらしい。俺は総悟に言われるまま、内壁をごりごりと音が出そうなくらいに擦り上げた。
総悟は色っぽく喉を反らし甲高い嬌声を上げた。
「はぅぅ、ん、んぁ！や、…ぁ、あ、あっ…」
「…そ、ご…っ」
「やァっ…、じ…かた、さんっ！…も、俺…イっちゃうッ！出ちゃうよぉ…」
「、…安心しろ…。ぅ、俺もだっ…」
俺はフッと笑って総悟にラストスパートをかけ始めた。パンパンと肌のぶつかる音が激しさを増し、悶絶する総悟の両足が何度も宙を蹴る。
そして…
「あ、あんッ…ひゃ、んあああぁーっ」
「ぅう、…総悟ッ…！」
俺の熱い体液がドクドクと総悟のナカに注ぎ込まれ、ナカを満たしていった。
俺のものが全て注ぎ込まれると総悟は爪先をピンと伸ばし、俺の腹に熱い白濁を放った。
「はぁ、はぁっ……！」
二人繋がったまま力尽きて布団に倒れ込む。
それからどちらともなく指を絡め合ってお疲れさまのキスをした。
俺が名残惜し気に唇を離すと、蕩けるような瞳の総悟と目がかち合った。
「ねぇ、土方さん…」
「…何だ？」
「一つだけ、約束してくだせぇ…」
「ヤクソク？」
俺が総悟の言葉を繰り返すと総悟は俺の手を取り、自分の頬にあてがった。
その上から自分の両手を重ねて、総悟はゆっくりと瞼を閉じた。
「アンタは…居なくならねぇでくださいね…。アンタだけは…絶対に…」
俺、アンタまで居なくなっちまったら…もう
そこまで言った総悟の唇を己の唇で塞ぐ。
不意打ちのキスに驚き目を見開く総悟に、今までにないくらいの穏やかな笑顔で笑ってみせた。
「…いてやるよ。ずっと一緒に」
これからどんな運命が俺を待ち受けていたって、俺は何度でも乗り越えて何度でもお前を抱きしめてみせる。
たとえ、その運命が死だとしても。
俺はお前を裏切らない。
そこに、永遠なんてなくても――。
完)
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