常識観念論

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おっはよーございます。
皆のアイドル、セフィリアちゃんでーす。
本日はマルクト軍のみんなと仲良く暇つぶしをしたいと思います!













当初はこの宮殿に一般人(に見える)のセフィリアが堂々と入ろうとすれば衛兵はそれを阻んだ。
しかし今では軍の中でも上位階級に属す者が頭を下げる始末だ。
セフィリアが何をしたのかは被害を受けたマルクト軍人しかわからないが、とんでもない事を仕出かしたのは確かである。



「ぐっもーにん!」

「おー来たか。」

「来ちゃいましたか。」



謁見室の扉を開ければ玉座に座るピオニーとその隣に立つジェイドが出迎える。
皇帝とその懐刀にタメ口を叩く者なんて世界中探してもセフィリア以外いないだろう。



「大佐、眼鏡光ってるよ?笑える〜」

「ははは、私は貴女の存在そのものが笑えますよ。」

「大佐むかつく〜」

「奇遇ですね、私も貴女の事むかついてますよv」

「ハートつけるな。35歳のくせに。キモい。」

「21歳で永遠の美少女とか言ってる人の方がよっぽどキモいですよ。」

「なぁ、皇帝を空気扱いはやめないか?」



貼り付けただけの笑顔で火花を散らす二人に思わずピオニーが横入る。
まぁ返事がある訳がなく、虚しく彼は無視されている訳だが。









「ところで今日は何しに来たんですか?貴女がいると(普段からですけど)陛下が仕事をしなくて迷惑なんですが。」

「おい、省略部分のとこ聞こえたぞ。」

「聞こえたなら仕事してください。」



どこからともなく出した書類三山がドーンとピオニーの前に置かれる。
頬をひくつらせている皇帝陛下殿はジェイドに呼ばれたフリングスによって連行された。
ずいぶんとお早いログアウトである。



「あーあ、行っちゃった…陛下で遊ぼうと思ってたのに。」

「ははは、残念でしたね。陛下もいない事ですし帰ってください。」

「あは、やだよ。」



『あは』から『やだよ』にかけて不機嫌な表情に一変する。
あからさま過ぎるその態度にジェイドの眉が動く。



「私を誰だと思ってんの?セフィリアちゃんよ?世界は私のために楽しくあるべきなの。
今日私がマルクト軍で遊ぶって決めたら遊ばなきゃダメでしょ?」

「頭大丈夫ですか?」

「あ゙?何か言った?」

「難聴ですか?若いふりしても身体能力は詐れませんからねぇ。」

「ふりじゃないし。若いし。実際ジジイのあんたと一緒にしないで欲しいんだけど。」



一歩も譲らない笑顔の厭味合戦は室内温度を着々と低下させている。
謁見室の入り口にて警備をしている兵士が今、泡を噴いて倒れた。



「……二人ともやめてください。室内に氷柱ができてます。」

「あ、フリングスしょーぐん。」

「セフィリアさん。平仮名呼びはやめてくれませんか?」

「セフィリアちゃん。」

「……」

「セフィリアちゃんって呼ばなきゃ敬称だけじゃなくて名前も平仮名呼びにする。」

「……セフィリア、ちゃん…」

「フリングス将軍大好きー!」



ぐっと恥を忍んでセフィリアの名を呼ぶフリングスに飛び付いた。
見た目こそは14歳で通せても実年齢はすでに成人してる女をノリでおんぶしてしまうわ、この後どうすればいいか助けを求めるてもジェイドは終始笑顔だわでフリングスは泣きたくなった。



「ところで陛下を置いてきて大丈夫なんですか?また逃げますよ?」

「ああ、それなら先程ブウサギの散歩から帰ってきたガルディオス伯爵に任せてきました。」

「え!?ガイいるの!?」



ぴょんっとフリングスの背中からおりてピオニーの私室に走る。
ガイがいるなら早く言ってよね!



「今日はもう仕事は進みませんねー」

「はは…そのようですね。」

「本日も残業、頑張ってください将軍。」

「……」



うなだれるフリングスの横をスキップまでとはいかずも軽い足取りで通り謁見室を後にする。
向かうはもちろんピオニーの私室。面白いものを見過ごすジェイドではない。














「ガ イ ラ ル ディ ア 伯 爵v」

「ぎょわあぁああぁぁ!!」

「久しぶり〜ガイに会えなくてセフィリアちゃん寂しかった〜」

「わかった!わかったから離れてくれ!」

「私みたいな美少女が抱き着いてるのに"離れろ"なんて信じらんな〜い!」

「美少女じゃないから離れてほしいんじゃないですか?」

「嫌味言いに来たなら帰れvむしろ土に還って消滅すれば良いよv」

「頼むから先に離れてくれー!!」



セフィリアがガイの腰に回す腕に力を入れるとガイはさらに泣き叫び、ジェイドはそれを嘲笑いながらセフィリアと嫌味合戦ラウンド2を開始した。
そして私室だというのにピオニーはまたしても空気になっている。
だがそんな事でへこたれる男ではない。



「セフィリア、ガイラルディアなんてやめて俺んとこにこい。」

「やだよ。陛下、親父臭するんだもん。」

「まだそんな歳じゃないよ!!」

「だいたい陛下と私じゃロリコンになっちゃうし。」

「安心してください。ロリコンは14歳までの女の子の事です。」



言葉の裏に「あなたもう21歳でしょう。ガイと同い年のくせに図々しいですねぇ。はっ(鼻で笑い)」というのが含まれている気がしたけど気のせいかなぁ〜?
でも、ちょっとさっきからムカつく事ばっかり言うし、一発このオッサンにお灸を据えてあげましょーか!



「離れてくれ!お願いします!一生のおねが……」

「え…ちょっ、待て…ここ俺の部屋…」

「あはは〜セフィリアやめなさい。」



オーバーリミットをして秘奥義の詠唱に入る。
引っ付かれたままのガイは涙目になり、自室で秘奥義を絶賛発動中されてるピオニーもまたあわてふためいていた。
原因であるジェイドは涼しい顔で窓の近くに立ち、いつでも逃げれるようにしている。



「冥界より現れし死の神の断罪を受けなさい!デスサイズ!」



愛用の大鎌を振りかざしながら譜術を発動させる。
室内にカッと閃光が走りグランコクマの美しき水の宮殿に爆音が響いた。



「手応えがない…逃げたか…チッ」

「な、なな何事ですかこれは…!」



ピオニーの元の重要書類は無惨にも鎌の餌食となり、部屋は四方八方に穴が開いている。
まるでソードダンサーとベヒーモスが同時襲撃してきたかのような光景に駆け付けたフリングスは卒倒しかけた。



「セフィリアさん…これから半年は宮殿に立入禁止です。」

「セフィリアちゃんだってばー!!」

「…セフィリアちゃん……(うぅ、胃が痛い…)」



キリキリと痛む胃をさすりる上司に若き新米兵士もベテラン兵士も合掌した。



「そ、そういえばジェイドはどうした…?」

「え…今頃自分の執務室でコーヒーでも飲んでるんじゃないですか?」

「…もう俺ヤダ。皇帝やめたい。ここ怖い。」

「俺もバチカルのファブレ邸に戻りたいです…」

「セフィリアのトラブルメーカーっぷりは半端じゃないな…ってあいつどこ行った?」

「静かだと思ったら…いつの間に。」

「嵐のようなやつだな、ホント。」



恐らくこの惨事を処理するために出て行ったフリングスに着いて行ったのだろう。
そんな事を考えていると、もう扉の役割を果たしていない扉が開きジェイドが現れた。ガイの予想通りコーヒーを片手に。



「こんな事になったのも陛下が真面目に仕事したからですね。」

「まさかの俺のせい!?しかも仕事しろって言ったのお前だろうが!」

「そうでしたっけ〜?なんせ歳なもので物忘れが激しくて。すみません。」

「その笑いやめろ!」



キィー!と癇癪を起こすピオニーの横で将軍や陛下には悪いがバチカルに帰る事を決めたガイがいた。




(常識?そんなの私が常識よ!)





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かなり前に頂いた樹里亜様宅のTOAのお話。
掲載がかなり遅れてしまい申し訳ありません。

周りを振り回す様が素敵です。強くて可愛い女の子は正義ですね。ただし21さ、おっと誰かが来たようだ。


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