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「…初めてモニカを見た時さ」
そう切り出せば、膝に横座りしてるモニカが読んでいた本から顔を上げた。
視線で何?と問いかけてくる。
「天使ってホントに居るんだな、って思ったんだ」
俺の言葉にふふ、と小さく笑い声を溢してモニカが微笑む。
「羽があったから?…そう言えば記憶喪失だったのよね」
「……まぁ確かにあの時記憶は無かったけど」
「だからでしょうね、他のフェザリアンを見た事がなかったの?」
「モニカに会う前に1回だけ、でも一瞬見ただけで飛んでいったよ」
「そのフェザリアンも天使かと思った?」
モニカの意地悪な質問に首を横に振って、その小さな体を抱きしめる。
「……フェザリアンの存在はアネットから聞いてたから、そうは思わなかった」
俺の言葉の続きをモニカは待っていた。
体を俺に預けて、少し恥ずかしそうに頬を赤に染めて。
「それでもモニカを見た時は本当にそう思ったんだ、モニカもこの羽も綺麗だったから」
多分、一目惚れだったよとそう言ってモニカの羽を何度か髪をすくように指で触れていると、モニカが小さく身動いだ。
そして視線を床に落としてポツリと呟く。
「……こんな紛い物の羽なのに?」
モニカはこの羽に落ち目を感じているらしかった。
小さい頃から周りのフェザリアン達に馬鹿にされ、飛べない事を理由に海に突き落とされたりしたから。
それが原因だと俺も知っている、だけど。
「そんな言い方するなよ…この羽はピートとルーミカさんの愛の証だろ?」
だけど知ってほしい。
君は望まれて産まれてきたんだという事を。
「それに俺もアネット達も紛い物だなんて思ってないよ、モニカはその自分を卑下する癖を直さなきゃ」
少しでもこの気持ちが伝われば良いのにとモニカの頬に触れるだけのキスをする。
すると恥ずかしかったのかモニカが顔を隠す様に俺の胸に頬をすり寄せた。
モニカさん…耳真っ赤なの隠れてませんよ。
「ねぇ…スレイン」
「うん?」
「……嫌いに、なる?」
「?なにが?」
「癖…直さなきゃ、嫌いになる?」
……あぁそんな事を気にしてたのか。
だからさっき顔を見られない様にしたんだ。
幼い頃の記憶に怯え、嫌われる事を恐れている小さな恋人。
だったらソレを取り除いてあげるのは彼女の恋人である俺の役目だよな?
「…そんなところも含めて俺はモニカが好きだよ。でも…癖を直してくれたら、もっと好きになるかな」
耳元でそっと囁けばピクリと揺れるモニカの肩。
少ししてモニカが真っ赤な顔を上げて…
「―…じゃあ頑張ってみる 」
何か呟いた。
でも、それはあまりにも小さい声で聞き取れなくて。
「え?なに、聞えな…」
俺の言葉はモニカの唇に遮られた。軽く触れるだけの、さっき俺がしたのと同じキス。
滅多にないモニカからのキスに、さっき聞こえなかった言葉なんて忘れてキスの雨を降らせてた。
(小さな羽)
『―…じゃあ頑張ってみる』
・END・
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甘いのを目指してたつもりだった、けど甘いのかな?これ(笑)
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