今、いくよ | ナノ
02

 
 
鳥のさえずりが聞こえる天気の良い朝。まだ眠い体を起こしてくせっ毛をガシガシと掻いた。

ああそういえば今日、大学は昼からだ。

なんて、覚醒してきた頭で思い出した後、眠気を覚ますためにコーヒーを飲もうとベッドから抜け出した。

リビングに行くには普段絵を描いている部屋、アトリエと言って良いだろうその前を通らなければいけないのだが、その部屋の前を通った時、ふと違和感を感じた。

自分の家と言えど、アトリエの管理はキッチリとしている。部屋を使い終わった時は鍵をしっかりかけて自室の机の引き出しに入れる。

今まで一度だって忘れた事のない日課だ。なのに、


「…開いてる」


そう、開いているのだ。アトリエへと続くドアが。
その現状に唖然とし、自分の失態に呆然としていた。


「……誰か居るの?」


有り得ないと思いながらも一声かけてみるが、返事はない。それに安心して、だけど恐る恐るドアを開けた。

するとそこには、一人の少女。


――バタン


ドアを閉めた。


「まだ寝ぼけてんのかしら」


苦笑しながらもう一回ドアを開けてみる。

…が、以前変わらず眠り続ける少女の姿。どうやら寝ぼけてはいないらしい。

試しに頬を引っ張ってみるが痛覚は確かに頬を駆け巡った。


「……現実!?」


思いがけない出来事に声を張り上げてしまう。


「んん……」


そのせいで少女は目を覚ましてしまった。

「……」


起きるやいなやキョロキョロとしだす少女。


そして、アタシと目が合った。ぼうっとした虚ろな目をむけ、2回くらいゆっくりと瞬きをする。


「…あと……五分…」


そう言って少女はまた眠りだした。


「ちょっと、寝てんじゃないわよ泥棒!」


バシン!!と気持ちのいい音をたてながら頭を叩いた。


「痛っ!な、何!?」


半泣きで叩かれた頭を触りながら叫ぶ少女。


「泥棒のクセに安眠もクソもあるわけないでしょ!!」

「へ……?」

「何か言いなさいよ」

「…………」


何故か、アタシの顔をじっと見ながら固まってる少女。


「……?…ちょっと、」

「う、嘘…まさか、」


今度は独り言を言い出した。かなり困惑した様子だ。

少し独り言を言った後、少女は不安そうな瞳をこちらに向けて口を開いた。


「…あの、付かぬ事をお聞きしますが」

「な、何よ」

「貴方はギャリー…ですか?」

「…そうだけど」

「ほあっえ、はぁ!?」


少女は壊れた。



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