今、いくよ | ナノ
01

 
 
何の変哲もない金曜日の午後。退屈で仕様がない授業も終わって、早足で家に帰る。

インターネットのフリーホラーゲームであるIbをするためだ。
友達に勧められてプレイしてみたのだが、もう好みすぎる。あの幼女コンビを本気で愛でてやりたいし、撫でくりまわしてやりたい。

でも何より、ギャリーの紳士さ、オネェというギャップに惚れてしまった。


「ギャリー……ふふ……」


人目を気にせず不適に笑う姿はさぞ恐ろしいことだろう。やはり世間の目は厳しく「何あの人」と言っている強い視線が私に向かっているのをひしひしと感じた。

だがそんな事で私はめげない。

なんて思いながら、やっぱり少し恥ずかしかったのでそそくさとその場から逃げるように、地下鉄に向かう長い階段を早足で降りた。


…のだが。


「う、わっ」


誤って、足を滑らしてしまうという失態をしてしまった。

体は重力に沿って前に倒れていく。このままいけば確実に大怪我だけでは済まされないし、打ち所が悪かったらお陀仏だろう。


「っ!!」


私は咄嗟の出来事に目を瞑るしか出来なかった。


私はこのまま死んでしまうのだろうか。
ああ、そうだとしたら短い人生だった。どうせならもう一度、Ibをプレイしてギャリーを一目見たかった。

階段から落ちているのに、何故か酔いそうなほどぐるぐると回る頭の中。正直気分が悪い。しかも、襲ってくる眠気のせいで意識が朦朧としている。

そのまま私は果てしなく来る眠気に身を委ね、意識を手放した。

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