![]() == == == == == 年老いていく君を眺めるのは苦ではない。 ただ……僕に気付かず、どこの馬の骨とも知れない男に手を引かれ、優しい笑顔を向ける姿には胸が痛んだ。 抱き締めようにもすり抜けてしまう手。 霊的知覚のない状態では触れることもできない。 君が子を為す様子も、病にかかる様子も…………そして死ぬ逝く時も、いつかもしもを信じて傍に居た。 まぁ、最期まで気付いてはもらえなかったが。 尸魂界に向かったであろう魂魄。 僕はきっと探さない。 向こうにいるのはもう叶華ではない。 生前の記憶は持ち得ないのだ。 だから、最後のわがまま。 夫も子供もいる叶華。 血の通わない唇を………。 最初で最後。 なんだかとても幸せな気がした。 ((お疲れさま)) == == == == == == == == == == 「叶華、君が霊力を持たないことを願っているよ……」 「もう……誰にも心を乱されたくないからね…」 ← | |