友とは退屈を与えないもの
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藍染惣右介と出会ったのは随分前、もう何百年も前。




「もう昼休憩だけど、食堂に行かないのかい?」




初めて会った時、彼は上位席官だった。

隊舎の屋根の上でぽけーっと空を眺めていたら話しかけられた。
他隊ではあるが、気にしてくれたようだ。

まさか話しかけられるとは思っていなくて驚いた。



「……仕事終わりは食欲ないから」


「?」

彼らとは"仕事内容"が違うのだ。

「でも午後も仕事があるだろう。
何も食べないのは体に良くない」

そう言って彼はおにぎりを2つくれた。
食べきれないと1つは返したが。






それからよく会うようになった。

彼はすぐに私の仕事内容を知ったようだったが、興味がないのか一向に離れていかなかった。



お互い"そういうこと"には冷めていたから、若気の至りをやらかすこともなかった。

目の前で平然と着替えたこともあった。

会っては少し話して眠る。

人が寄り付かない静かな場所が欲しかったらしい。






「叶華は怖がらないね、これだけ力の差があるのに」

「……簡単に殺されるって分かってるのに疲れるだけじゃん。私は殺さないように怖がらせるのが仕事だし」





圧倒的な差を認めた上で無駄と断じる。

「じゃあ君を拷問しようか?」

「えー……藍染くん、間違えて殺しちゃうよ。
案外難しいんだよ?死神も結構脆いから」

膝を貸してあげているというのに指を折られそうになった。


「なに、怖がってほしい?」

「いや、何だか新鮮でね」

「演じるの止めたら皆びっくりするんじゃない?」

藍染くんって役者だから、と続ける。



彼が倫理的に良くない実験をしていることは知っている。でも止める気はない。ここは拷問室じゃないから。

死神にはなったけど崇高な理念なんて持っていない。















「ここは退屈だね……」

「遊んであげようか?君のカラダで」

悪人の目で笑ってる。
今まで拷問にかけてきた誰より悪い目だ。




「んー……藍染くんの遊びって病み付きになりそうじゃん…。楽しいことは知らないまま死にたいんだよね…。

私は弄られるより弄って吐かせるのが仕事だから」





((認めよう、君は僕の友であると))
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「叶華、君いつか強姦されるんじゃないか」
「ん?藍染くん遊びたいの?」
「残念ながら女には困ってないよ」
「いい部下が見つからないんだっけ、頑張ってね」
「……だから服を着なよ…」


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