![]() == == == == == 「ホント…馬鹿みたいだよね。 全部分かってたのに…」 この想いの一切が無駄であること。 叶華は暗闇の中、しゃがみこんだ。 「――そんな事ないよ」 隣に藍染が立っていた。 闇に慣れない叶華とは違う。 こんな中でもちゃんと見つけてくれる。 それだけ闇が身近なものだった。 「僕は…叶華の前では"こう見てもらいたい"と思う姿であったつもりだよ。だから……叶華がそう思ってくれるなら、僕の努力も無駄ではなかったのかな」 藍染は叶華の頭を撫でた。 叶華にはその言葉に真偽は分からない。 「(信じたいから疑う……こんな気分なのかな…)」 頭を撫でる手に触れた。 これで最後だから。 最後に弱いのが、自分という女の弱点だと思う。 「――…惣右介……好き…」 手が震えていないことを願う。 「叶華、」 「だからね、惣右介。 迷わず進んで。間違ってないと思うから」 願わくばこの願いごと捨てて…。 「迷いも甘さも、私たちの幻想と一緒に捨てて行って…」 ((私を斬り捨てられなかった貴方)) == == == == == == == == == == 「あと少しだけ……もう少しだけ一緒に居て」 「あぁ…」 「ねぇ憶えてる?霊術院でのこと」 「…会った時もこんな夜だったかな」 「うん。最初から最後まで…友達なの。でも明日からは赤の他人」 「そうか……寂しくなるね」 「だからいっぱい泣いちゃうかも。口封じし放題だね」 「封じる必要はないよ。他人なんだろう?」 ← | → |