見透かす視線 == == == == == 瞬歩で距離を詰めた藍染は、叶華の右手を掴み上げた。 「っ、……なに?」 驚きを一瞬で隠すと、キッと睨み付けた。 「怖い目をする。 このまま僕に斬り殺されるかもしれないというのに…」 柄に手をかけるが、ふっと笑って下ろした。 「まったく…強情だね…」 「私1人が死んでも護廷隊の損失にはならない」 揺るがない瞳を満足そうに見つめる。 「その冷静さは評価に値するよ」 それほどに魅力的な人材ではあった。 しかし……。 「他人の評価に興味はないの」 「もったいない。 見る目といい、力があれば連れていったものを……」 眉をひそめる叶華。 「さっきから弱いとか力があればとか……。 そんなに力が大事?」 「当然だ。力のない者が何かを守れると思うかい? 得られるものがあると思うかい?」 そこで哀れむように目が伏せられる。 「力に取り憑かれて…可哀想な人……。 …でも、本当に欲しいのは力? 今でもそれだけの力があるのに。 惣右介くん……本当は力なんて…」 藍染は叶華の手を捻ると背後に回った。 そしてもう片方の手で目元を隠す。 「思ったことをすぐ口にする。それが推測でも。 叶華、君の悪い癖だ…」 ((白き世界に伏して眠れ)) == == == == == == == == == == 「またその人の動向見てはるんですの?」 「あぁ、叶華は鋭くて困る」 「僕あの人苦手やわぁ…」 「ギンが……?珍しいこともあるものだ」 「人の心ん中、平気で暴くやないですか」 ← | → |