![]() == == == == == 「あれ、首席がこんなところで独り寂しく読書?」 叶華との出会いは霊術院の2回生の時。 同級生の騒がしさにうんざりして、1人で読書をしていたら、誰も通らないと思っていた場所で見つかった。 彼女が僕より2つ下の学級の2番手と知ったのは、出会って暫くした頃だ。 「惣右介くんって本当に物知りだね」 辞書みたい、と人を便利道具扱いした時は頬をつねってやった。 「あ、また1人でいる」 叶華は僕より知識も少なく、実力も及ばない。 それでも他の連中と違い、遠ざけなかった。 何故? 僕を真っ直ぐに見詰め、騙されなかったから。 「この歳で無理に笑う子供は変な大人になるんだよ」 ほら、肩の力抜いて。 無理に笑ってるより怒った顔してる方がいいって。 人を見下してる感あるよね。でもそっちの方が好き。 後にも先にも、僕にそんなことを言ったのは叶華だけ。 「手を抜くのと気を抜くのは違うんだから。 頑張りすぎると疲れちゃうよ?」 あれが初めてだ。 叶華に、……他人に甘えることをよしとしたのは。 叶華の膝を借りたあの日の休憩時間は、とても安らかな時間だった ((安眠枕)) == == == == == == == == == == 「惣右介くん、休憩時間終わっちゃうよ」 「………、僕は…寝ていたのか…。すぐ起こせばいいのに…」 「びっくりしたけど、可愛かったから」 「……男に言うには不適切な表現だと思うよ」 「私は思ったことを言っただけ」 ← | → |