03
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主の腕の中はとても心地よくて。





あぁ、この人が僕だけのものならいいのに。

誰も知らない場所で僕と貴女、2人だけならいいのに。












「主、僕とどこか遠くへ行きませんか?」











そんなことを口走る気はなかった。
でももう口をついて出てしまった。

「主、僕は貴女のことが……」

「宗三、」

もう顔も上げられなかった。

きっと拒絶される。



先に真名を聞き出すべきだった、なんて後悔しても遅い。

あぁ、知っていれば、無理にでも連れていけたのに………。




「私は私。それ以上でも以下でも、もちろんそれ以外でもない。
一緒には行ってあげられないよ」





ほら、やっぱり……。



























「遠くまでは一緒に行ってあげられない。
だから、宗三、2人で近くまで散歩にいこう……」




((本当の貴女の尊い時間))
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「それで許しておくれ……」
「……分かりました。抱いて歩くのも甘んじて拝命しますよ」
「なに、手間は取らせないよ」
「中庭まで、などと言わないで下さいね」
「……裏山の麓まで、かねぇ…」


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