![]() == == == == == あれからも長谷部くんは毎朝やってくる。 もちろん、他の者も来る。主の快復を願いに来るもの、ただ見舞いに来る者、気分転換に騒ぎに来る者もいた。 それから暫くして、僕は誰も主の部屋に通さないようにした。 「何故だい?別に私は騒いだりしないよ?」 あぁ知ってるさ。 君の加持祈祷は静かだ。 間近で見てきた僕が保証するさ。 「それでも駄目だよ」 静かにするだけでいいならほとんどの者が部屋に入れてるさ。 そうじゃないんだ。 「暫く主にもお目にかかれていないから心配なんだが…」 「主ならいつも通りさ。心配していたと伝えておくよ」 それだけ言って僕は石切丸をも追い返した。 そう、駄目なんだ。 君たちは主の生を諦めていないから。 心配する言葉が、 快復を願う心が、 元気付けようとする行いが、 主を追い詰める。 ((ゆっくり、休ませてあげたいんだ)) == == == == == == == == == == 「青江や、最近はやけに静かだねぇ……」 「そうかい?短刀たちは裏山ではしゃいでいたりするよ」 「何かあったのかい…?」 「雪が降ったのさ。そこそこ積もっていたよ」 「風邪をひかぬよう、言っておいておくれ」 ← | → |