![]() == == == == == 「主、お加減はいかがですか」 どうやら長谷部くんが来たみたいだ。 「あぁ……元気だよ」 なら起き上がりたまえよ、なんて言わないよ。 全部分かっているからね。 主がみんなを心配させまいと嘘をついてることなんて。 もちろん、そんなことはみんな百も承知なんだけどね。 「そう、ですか……」 ほら彼だって分かってる。 でも分かってるなら毎朝押し掛けるのはやめて欲しいね。 主は加減が悪いんだから。 主命が欲しいからって無理をさせるものじゃない。 僕なんてちゃんとした主命は片手で足りるよ? その一つが"笑ってちょうだい"なんだから笑えるだろう? 「主、本日の内番はいかがいたしましょう」 ……気にくわないなぁ。 主は臥せってるっていうのに、仕事のことばかり。 別にそんなこと、どうだっていいだろうに。 わざわざ任じなくても各々がするだろう。 畑なんて"主に美味しいご飯を食べさせたい"連中が。 馬だって"主が良くなったらいつだって出陣する"連中が。 「青江……まだ当番が回っていない者は…?」 「畑当番は三日月、馬当番は源氏の二振りかな」 「ではそのように。…長谷部、三日月を手伝っておあげ」 「……拝命いたします」 あぁ、ようやくいなくなった。 最後まで僕を睨み付けて。 仕方ないだろう?僕は近侍なんだから。 部隊編成を当番制にするわけにはいかないからね。 さて、それじゃあ近侍の仕事に励もうか。 ((ただの側仕えだけどね)) == == == == == == == == == == 「主、出陣は……」 「私がこのような今、負傷させるわけにはいかないでしょう」 「敵に遅れをとるようなことは決して……!」 「長谷部くん、主が出陣はしないっていってるんだからさ」 「………ではせめて部隊を改め、遠征だけでも」 「あなたたちだけ働かせるつもりはありません…」 「そろそろお引き取り願おうか。主に障る」 ← | → |