02
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「主、お加減はいかがですか」



どうやら長谷部くんが来たみたいだ。

「あぁ……元気だよ」

なら起き上がりたまえよ、なんて言わないよ。

全部分かっているからね。
主がみんなを心配させまいと嘘をついてることなんて。

もちろん、そんなことはみんな百も承知なんだけどね。


「そう、ですか……」

ほら彼だって分かってる。

でも分かってるなら毎朝押し掛けるのはやめて欲しいね。
主は加減が悪いんだから。

主命が欲しいからって無理をさせるものじゃない。

僕なんてちゃんとした主命は片手で足りるよ?

その一つが"笑ってちょうだい"なんだから笑えるだろう?





「主、本日の内番はいかがいたしましょう」





……気にくわないなぁ。

主は臥せってるっていうのに、仕事のことばかり。

別にそんなこと、どうだっていいだろうに。

わざわざ任じなくても各々がするだろう。

畑なんて"主に美味しいご飯を食べさせたい"連中が。
馬だって"主が良くなったらいつだって出陣する"連中が。


「青江……まだ当番が回っていない者は…?」

「畑当番は三日月、馬当番は源氏の二振りかな」

「ではそのように。…長谷部、三日月を手伝っておあげ」

「……拝命いたします」


あぁ、ようやくいなくなった。
最後まで僕を睨み付けて。

仕方ないだろう?僕は近侍なんだから。

部隊編成を当番制にするわけにはいかないからね。





さて、それじゃあ近侍の仕事に励もうか。



((ただの側仕えだけどね))
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「主、出陣は……」
「私がこのような今、負傷させるわけにはいかないでしょう」
「敵に遅れをとるようなことは決して……!」
「長谷部くん、主が出陣はしないっていってるんだからさ」
「………ではせめて部隊を改め、遠征だけでも」
「あなたたちだけ働かせるつもりはありません…」
「そろそろお引き取り願おうか。主に障る」


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