03
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今ごろ本丸は大騒ぎだろうね。

君の気配が途絶えてしまったんだから。




「あら、石切丸。
ここに居たのね、探したわ」



あぁ、体に問題はないみたいだね。

本来なら私の神気で満たしてから連れてくるんだが、今回は急いでいたからね。他の刀に見つかると厄介だから。

私は機動が遅いからせめて決断は早くしないと。

まぁ、何十年も一緒にいたから神気も馴染みやすいのかな。


「あぁ夢叶、何かあったのかい?」

「見慣れない場所に置いていかれたら心配になるでしょ」

「それはすまないね」

「ところで他の皆は……あら、他に誰かいたかしら…?」





「いや、ここには元から私と夢叶だけだよ。
不思議なことを言うね」




















その身を若かりし頃に戻した夢叶。

自由に歩き、私のこともきちんと覚えている。
あぁ、要らない記憶を消す際に多少は忘れたかもしれないね。


私は武器だからね。

主の最期まで付き合いたいと思うよ。

でも……私は長く特定の主がいなかったからね。

少しばかり欲張りになってしまったようだ。

他の皆から奪って私だけの主にしてしまったよ。





でも君は許してくれるだろう、夢叶。

だって君にはもう、私の記憶しかないのだから。
他の刀の存在なんて知らないのだから。



私は私で、夢叶は夢叶。




((そう、ここにいるのは"ただの私たち"なんだ))
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私はもう刀剣男士ではない。
……あぁ、君をこんな風にしたからもう御神刀でもないね。
そして君ももう審神者じゃない。
ただの夢叶。
さぁ、これからはずっと一緒にいよう。


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