![]() == == == == == 今ごろ本丸は大騒ぎだろうね。 君の気配が途絶えてしまったんだから。 「あら、石切丸。 ここに居たのね、探したわ」 あぁ、体に問題はないみたいだね。 本来なら私の神気で満たしてから連れてくるんだが、今回は急いでいたからね。他の刀に見つかると厄介だから。 私は機動が遅いからせめて決断は早くしないと。 まぁ、何十年も一緒にいたから神気も馴染みやすいのかな。 「あぁ夢叶、何かあったのかい?」 「見慣れない場所に置いていかれたら心配になるでしょ」 「それはすまないね」 「ところで他の皆は……あら、他に誰かいたかしら…?」 「いや、ここには元から私と夢叶だけだよ。 不思議なことを言うね」 その身を若かりし頃に戻した夢叶。 自由に歩き、私のこともきちんと覚えている。 あぁ、要らない記憶を消す際に多少は忘れたかもしれないね。 私は武器だからね。 主の最期まで付き合いたいと思うよ。 でも……私は長く特定の主がいなかったからね。 少しばかり欲張りになってしまったようだ。 他の皆から奪って私だけの主にしてしまったよ。 でも君は許してくれるだろう、夢叶。 だって君にはもう、私の記憶しかないのだから。 他の刀の存在なんて知らないのだから。 私は私で、夢叶は夢叶。 ((そう、ここにいるのは"ただの私たち"なんだ)) == == == == == == == == == == 私はもう刀剣男士ではない。 ……あぁ、君をこんな風にしたからもう御神刀でもないね。 そして君ももう審神者じゃない。 ただの夢叶。 さぁ、これからはずっと一緒にいよう。 ← | |