02
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私はね、最近心配でならないよ。




「おや、誰だったかなぁ」

私は若草なんて名前ではないよ。
石切丸というんだ。


「昼餉ならさっき食べて……んー、何を食べたかなぁ…?」

まだ食べていないだろう。
ほら、今日も燭台切くんや歌仙くんが張り切っていたよ。


「池に落ちたのか。
へぇ、それで、小狐丸は池にどうなったのかね」

だから池に落とされたんだよ。










はぁ、最近は特に酷いねえ。
加持祈祷はしているんだけど……。

心配だよ。



いつか私たちのことを忘れてしまうのではないだろうか。…いや、自分が審神者であることすら忘れてしまうかもしれない。




そんな最悪の状況になるまで黙ってはいられないよ。

私たちは付喪神だからね。

忘れられるということは存在できなくなることと同義なんだ。

どうか、忘れないでおくれ。










「主、私と神社に行かないかい?
最近物忘れも多いようだから、神様に祈願してみないかい?」





「神社……久しく詣でてなかったねえ。
あぁ、行ってみるとしようかね」

良かった。本当に、良かった。

さぁ、条件が揃うまであと少し……。


「神様にご挨拶しなくてはいけないんだが、……主の名前は何と言うんだい?」

「名前……?えぇっと……あぁ、夢叶だよ」

夢叶……。

それが主の真名なのだね。

「……そう、では私からご挨拶しておくよ」



あぁ、これでもう心配要らないね。

主は……いや、夢叶はずっと私を忘れない。

「それじゃあ行こうか、夢叶」
「ん?もう行くのかい…?」

もちろん。善は急げというだろ?


まさか私が主を人ならざるものにするなんてね。

こんなこと、誰が予想できたかな。




(御神刀である私が…))
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「はて、どこに行くんだい?」
「主は気にしなくていいよ。私がお連れしよう」
「ふむ。他の者は…」
「神無月でもないのに神様が集まると喧嘩になってはいけないからね」
「そういうものかねぇ……」


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